YASHA


YASHA(全12巻)(吉田秋生/小学館)

「BANANA FISH」にキャラクターや構成、展開はすごく良く似ているけれども、今回は人種問題や遺伝子問題をテーマにして、話しにさらに深みが増していた。話しの終わり近くになって人がどんどん死んでいって、バタバタのうちにムリヤリ収束に向かう流れもなんだかよく似ている。
「BANANA FISH」で主要人物だった「シン・スウ・リン」が物語の後半から登場して、話しに絡むようになったのは、すごく面白い。
シンが結婚した日本人女性というのは誰なのか、結局わからなかったけれども、これは、エイジの妹だったんだろうか。
【名言】
「異質なもの」に対する憎悪ってもう理屈じゃないんだよね。
経済の格差・人種・宗教・民族の違い・・・両者の溝は深く、憎悪は果てしない。(4巻p.132)
だいたい人間ほど世代交代のスムーズにいかない種もめずらしいだろうが!旧世代が新世代の資源を食いつぶして生き残ってる種なんてほかにないぜ。
役立たずの年寄りや麻薬づけのプータローなんざとっとと死んでくれってのが世の中の本音だろうが。(6巻p.18)
君もふつうじゃないよね。
おれは---そうだな・・・ふつうとかそういう問題じゃなくて
人間じゃないんだ。(7巻p.164)
おまえも非白人として生きることの理不尽さを身をもって知っているだろう。(8巻p.139)
自分の意思で死ぬことができないなら、あんたの手で殺してくれ!
そして忘れるな!おれの死体は灰になるまで焼きつくせ。決してDNAを取り出すことができないように、髪の毛一本も残すな。(10巻p.64)
君と似た奴のことを話したな。
君と奴とは1つだけ大きな違いがある。
奴は生き急ぎ、君は---死に急いでいる。(12巻p.67)