革命的なイノベーションが同時多発で起こった2007年以降の激動が理解できる『遅刻してくれて、ありがとう』


テクノロジーの分野で様々なイノベーションが同時多発的に起こった、革命的な年である2007年の出来事を中心として、そこを起点にして世の中がどのような変化をしてきたかがとてもよく理解出来る良書。

この本では、圧倒的な速度で変動している世界を3つのキーワードから説明している。「ムーアの法則」「スーパーノバ」「母なる自然」。

「マイクロチップの性能は2年で倍になる」というムーアの法則は、指数関数的な成長を引き起こすので、人間の理解を超えた変化の元になる。これと同じ成長が、CPUだけでなく、メモリやネットワーク速度やソフトウェアといった関連分野で同時に起こることで、全体としてさらに加速が進んでいる。

「スーパーノバ」は、インターネット上のクラウドを通じて全世界の人々や端末がつながることで起こる「知の爆発」で、メモリの低価格化で膨大なデータを処理出来るようになり、その結果をあらゆる人が利用出来るようになったことで、知識の総量と価値が飛躍的に拡大した。

「母なる自然」は、環境破壊によって、主にアフリカ、中東、中南米で起こっている変化のこと。これはとくにあまり知らなかったトピックで、普段あまり気にかけることのなかった地球の裏側の部分でどのような出来事が起こっているのかがよくわかる。

これらの変化の様子を、2007年に登場したiPhoneや、それ以降に急成長したtwittter、UberやAirbnb、など多くの事例を挙げながら説明していて、ここで登場する企業は、AT&T、IBM、クアルコム、GE、GitHubなど多岐にわたる。
この、各企業が関わる物語のパートがどれもとてもドラマチックで、読んでいて一番楽しい部分だった。

この本は、上巻が圧倒的に面白い。下巻に入ると、著者自身の生い立ちを振り返る回顧録的な章がほとんどになって、あまり惹きつけられるような内容はなかったので、テーマの8~9割は上巻を読むことで把握が出来ると思う。

名言

人類の歴史をふりかえると、ほとんどの人間の生活全般を根本から変えたエネルギー源は、数えるほどしかないとわかる。火、電気、そしてコンピュータ。そしてコンピュータがクラウドとともに登場したいま、火や電気よりも重大なものになるといっても、過言ではないだろう。火と電気は大規模エネルギーのきわめて重要な源だった。家を暖め、道具や移動手段のエネルギー源になった。だが、それら自体が思考を助けたり、代わりに思考してくれることはなかった。世界の知識や世界中の人々と結びつけてくれる力もなかった。世界中の人々がスマホで同時にアクセスできるようなツールは、これまでまったく存在しなかった。(上巻p.152)

崩壊しかかっている国はほとんどといっていいくらい、国境が直線になっている。90度をなしている国境線は主として、19世紀の帝国の版図か植民地だった国の顕著な特徴だ。こういった国境線は、民族、宗教、人種、部族とは無関係に引かれ、地形すら考慮に入れられていない。まして、社会契約によって人々が糾合して国を樹立したわけでもない。これらの国々は、加速の時代に対処する力が弱い。(下巻p.27)

現在のソーシャルメディアの使い勝手は、関与より拡散、討論よりも投稿、深遠な会話よりも浅薄なコメントのほうがやりやすくできています。相手と対話するのではなく、相手の話しを聞かずにしゃべることに同意しているような感じがあります。(下巻p.58)

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