からだにおいしい野菜の便利帳


からだにおいしい野菜の便利帳(坂木利隆/高橋書店)

本当に物事を識っているというのは、自分の身の回りにあるものや、普段食べているものが、どういうものなのかということをよく理解しているということなのだと思う。
だから、野菜や果物の美味しい食べ方を知っている人のことは、すごく尊敬してしまう。たとえば、ナスは焼いておくと冷凍保存がきく、とか、桃をどうむけば一番実が多く食べられるか、とか、そういう知識は、会社や学校では役に立たなくても、実生活においてはとても重要なことだ。
この本は、そういう智恵の宝庫のような本で、日本で食べられているあらゆる野菜や果物についての詳しい解説が集められている。レイアウトが、雑誌的で読みやすい。写真も多く載っていて、美しくて、これを読んで初めて元の形を知った野菜も多かった。
各野菜を材料にしたレシピが載っていたりするので、辞書引き的な使い方をすることを前提に作られているのだけれど、普通に、読み物として順番に読んでも面白い。
【この本を読んで勉強になったこと】
・ナスは焼いて皮をむいてラップに包み冷凍すると、1ヶ月保存できる。
・とうもろこしは水からゆで、沸騰してから3分で火を止め、ザルに取り、あとは余熱で仕上げる。
・オクラはハイビスカスに似た花をつける。野菜の花の中では群を抜いて美しい。
・春の七草のひとつ「すずしろ」は、大根の昔の呼び名。
・かぶは、葉をつけたままにしておくと、水分がどんどん奪われるので、買ったらすぐに切り分ける。
・「スナックエンドウ」だと思っていたものは、実は「スナップエンドウ」だった。
・じゃがいもを保存する時は、りんごと一緒に新聞紙でくるむと、りんごが出すエチレンの作用で、芽の生長が抑えられ、保存可能な期間が延びる。
・ごぼうは日本以外では食べている国はほとんどない。
・チコリーは、仏語読みでアンディーブというので、エンダイブと混同されることがあるが、別物。
・ぶどうはつるに近い肩の部分のほうが甘味が強いので、下部から食べる。
・すだちは生産量の98%が徳島産で、かぼすは生産量の9割以上が大分産。