グーグル革命の衝撃


グーグル革命の衝撃(NHKスペシャル取材班/新潮社)

わかりやすく編集されていて、読み物としてもとても面白い。
NHKの取材班がまとめた本ということで、googleの技術的な面にフォーカスしているというよりも、googleがもたらす世の中への影響や、googleと社会との関係について特に詳しく掘り下げているという視点が良かった。
エリック・シュミットや、マリッサ・メイヤーなどの役員に直接インタビューをして話しを聞いているというところも、他ではなかなか見ることが出来ない貴重な内容で、これだけでも充分に読み応えがある。
この本の中では、googleが提示している検索ランキングについて、中国問題などを絡めて、果たしてどれだけ公正でいることが出来るのか、ということが大きなテーマになっている。
googleが検索キーワードや、メールや、位置情報など、プライバシーに関連した情報を無数に蓄積していることによる影響についても、中立よりはやや批判的な立場から、とても客観的に詳しく検証をしている本だと思う。
もともと2年以上前に単行本で出ていた内容の文庫化で、時代的には2007年初頭くらいまでにまとめられた話しなので、今となってはちょっと古くなっている内容もあるけれど、それでも、この本は、多くの人にとって読みやすくなるよう文庫化する価値がある本だと思う。
【名言】
シュミットCEOは、ユーチューブのモデルこそ、インターネットの特性を最大限に活かしたものだと考える。雑誌「エコノミスト」のインタビューの中では、「様々な技術やビジネスモデルがインターネットに対抗する形で提示されてきたが、すべてインターネットの前に敗れてきた」とし、インターネットに対抗することは、人類の創造性に反することになると述べた。(p.158)
ほとんどすべてのケースにおいて、アルゴリズムの答えを信頼しているという姿勢を貫きます。万が一アルゴリズムに求められる適切さが欠けていたとしたら、そのときにはアルゴリズムを調整するでしょう。一部のサーチエンジンは、手作業で問題を取り除いているようですが、我々はほとんどの場合において、できる限り公正にするため、コンピュータのアルゴリズムを使うようにしています」(マッツ・カット)(p.200)
この中国問題が提起した問題点は、単にグーグルが中国国内で検閲に手を貸したかどうかということではない。最も重要なポイントは、政府やその他の権力の要請に基づいて、グーグルが検索結果に自由に手を入れることがあることを明らかにしたことなのである。(p.214)
メイヤー副社長の過去のインタビューを分析すると、その発言がグーグルの公式見解そのままで、不規則発言の類がほとんどないことがわかる。発言にブレがないのだ。(p.229)
イギリスの作家ジョージ・オーウェルが1949年に書いた作品「1984年」。ここで描かれた超中央集権的な未来社会では、国民の一挙手一投足は、ビッグ・ブラザーと呼ばれる神のような存在に監視され、そこから逃れることはでいないという悪夢のような状況が展開される。そして今、ITの急速な進化と検索サービスの巨大化によって、こうした社会が別の形で登場しはじめているという指摘も相次いでいる。(p.269)
マイクロソフトとAT&Tは、ともに市場独占の問題で司法省と争った経験をもつ。今回は攻守が入れ替わった格好だが、「独占」の問題は、アメリカを代表するIT企業が必ずと言っていいほど直面してきた問題である。(p.296)
この十年以内に十万円ほどで個人の全ゲノム情報を解析できるといわれる急速なゲノムシーケンス技術の発達を背景に、生命科学者達の世界でも、それほどの巨大データを処理できるところが多くはないことから、今後グーグルが個人の遺伝子情報という巨大なデータの解析をサービスとして提供するのではないかとみる人も現れ始めている。もし、個人の遺伝子データさえ検索できる未来が来るとしたら、グーグルに委ねられている情報の量は飛躍的に増大するのかもしれない。(p.333)

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