水晶堂 http://suishodo.net/ ja 2010-03-10T00:00:00+09:00 1127日 南米に到着 http://suishodo.net/archives/2010/03/1127.html 日本→ロスアンゼルス→ラスベガス→アトランタ→リオデジャネイロと乗り継いでブラジルに来ました。
移動時間は、10+1+4+11で片道26時間。

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コパカバーナ海岸

やたら暑い。

この後、また飛行機に乗ってイグアスの滝に行き、その後サンパウロに移動の予定です。

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suisho 2010-03-10T00:00:00+09:00
1126日 ラスベガス http://suishodo.net/archives/2010/03/1126.html  
ラスベガスというのは、街一つが丸ごと、年中無休でお祭りをやっているような場所だ。お菓子で家を作るような粋な遊びを、本気でやっている。
何の現実世界のしがらみもない砂漠の真ん中に、ゼロから街を作ったからだろうけれど、よくこんな街が、世に出来上がったものだと思う。

 
飛行機がマッカラン空港に降り立った直後に、ルクソールホテルのピラミッドが見えて、早くもテーマパークの中に入ったような気分になり、空港のゲートをくぐったところから既にスロットマシーンが並べられている。
街のすべてが、遊ぶこと、快楽を尽くすことを思いっきり肯定している感じだ。

 
遊園地と言うよりも、万博の面白さに近い。
一本の大通りの左右に、見るからに個性豊かなメガホテルが建ち並び、そのどこか一つのホテルの中だけでも、一日中いても飽きないような新奇な世界が広がっている。次のパビリオンではいったい何が見れるのかという、先の予測がつかない楽しさがある。

 
カジノで潤っているからなのか、宿泊費が安いというのが素敵だ。休前日はそれなりに高いけれど、混む日をはずして行くと、名だたるホテルでもびっくりするぐらい値段が安くなって、滞在しやすくなる。

 
ラスベガスにいると、夜には観るべきものがたくさんあるにもかかわらず、昼間になると催しが少なくなるので、割とヒマになる。
日本から行く時には、むしろ時差ボケした状態で昼夜逆転させたほうが愉しく過ごせる街なんじゃないかと思う。

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suisho 2010-03-09T00:00:00+09:00
1125日 飛行機に乗る前にやること http://suishodo.net/archives/2010/03/1125.html 長時間飛行機に乗る時には、何はなくとも水分が必要だ。
単に喉が渇くというだけではなくて、じっと座っているところで血液の濃度が濃くなるのは、なんかこわい感じがするので、なるべく水分を欠かさないようにする。
機内で配られるドリンクサービスというのは、欲しいと思う時にまわってこないから、手元にペットボトルがほしい。

ロンドンのテロ以降、手荷物にシャンプーやペットボトル飲料などの液体を持ち込むことが出来なくなってからというもの、だいぶ面倒なことになった。飲み物をあらかじめ用意していっても、検査場で没収されてしまう。

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じゃあ機内にペットボトルは持っていけないのかといえば、手荷物検査を通過した後に買ったものはOKということで、飛行機に搭乗する直前に自動販売機で買うことにしている。
買うのは、500mlのお茶とポカリスエットを一本ずつ。
これだけで、長時間の移動がだいぶ快適になる。

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思ったこと suisho 2010-03-08T00:00:00+09:00
1124日 改造社書店 http://suishodo.net/archives/2010/03/1124.html DSCF9673.JPG
成田空港で、出国ゲートを通過した後というのは、搭乗までの間、手持ち無沙汰になる。そういう場所に本屋があるというのは、すごくありがたい。
どこのゲートにもあるものなのかわからないけれど、今回乗った、ロサンゼルス行き飛行機の搭乗口の近くには改造社書店があった。

飛行機に長く乗る時というのは、手元に本があったとしても、つい余分目に本を買いたくなってしまう。
この「改造社書店」成田空港店は、日本で一番、売上効率(店舗面積あたりの売上)が高い本屋であるらしいのだけれど、この立地ならそれも納得だ。

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suisho 2010-03-07T00:00:00+09:00
1123日 数学の秘密の本棚 http://suishodo.net/archives/2010/03/1123_2.html
数学の秘密の本棚(イアン・スチュアート/ソフトバンククリエイティブ)

数学にまつわる、古今東西の面白いネタやエピソードを集めて一冊にまとめた本。軽いパズルのような内容もあれば、数字の奥深さを物語るよもやま話あり、歴史的な発見の解説もありで、数学に関連していれば何でも載せてしまっているような幅広さだった。

それだけに、ものすごく面白いテーマから、ただの雑談的なものまで、話しの方向も難しさもまちまちな内容が混在しているのだけれど、数学という切り口で一冊の中にこれだけ多くの話題を入れ込んでいるというのは、読み物としてとても充実していると思う。

【特に面白かった話し】
・空間を埋め尽くす曲線(p.83)
・四角の車輪(p.85)
・タイルは続く(p.113)
・特許となっている素数(p.134)
・オイラーの美しい公式が正しい理由とは?(p.187)


【名言】
生き物-植物-にフィボナッチ数が現れている例がある。驚くほど多くの種の花が、フィボナッチ数と同じ枚数の花びらを持っているのだ。ユリは花びらが3枚、キンポウゲは5枚、デルフィニウムは8枚、マリーゴールドは13枚、アスターは21枚、ヒナギクは34、55、89枚。ヒマワリは55、89、144枚、と。(p.100)

ユークリッドの『原論』では、正多面体は次の5種類しかないことが証明されている。正四面体、正六面体、正八面体、正一ニ面体、正ニ〇面体。正多面体は自然界でも作られる。とくに、放散虫と呼ばれる微生物には、5種類の正多面体がすべて揃っている。(p.174)

雪片曲線の「次元」は整数じゃないのだ。今までのように、「次元」を、進める方向の数と考えてはいけないのだろう。でもこの次元は、自己相似に基づいて曲がりくねり具合を数字で表すときに役に立つ。1.2618次元の曲線は、直線のような1次元の曲線より曲がりくねっているけれど、1.5次元の曲線よりは曲がりくねっていない、といった感じだ。(p.193)

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suisho 2010-03-06T00:00:00+09:00
1122日 エスプリ・ド・ビゴ http://suishodo.net/archives/2010/03/post_810.html 自由が丘駅から6~7分ほど歩いた場所にある、エスプリ・ド・ビゴ自由が丘店。
1階がパン屋で、2階がカフェになっている。パンもとても旨いけれど、特にオススメなのはカフェオレ。

 
でっかいカフェオレボウルで出てくる。ゆうに二杯分はある。
あと、クロックムッシュがいい。
たくさんの種類のパンがあって、なかなか全種類は試せないけれど、朝に行くと各種パン食べ放題というサービスがあるらしい。

東京都世田谷区玉川田園調布2-13-19
http://www.bigot-tokyo.co.jp/
営業時間8:00~19:00
水曜日定休

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suisho 2010-03-05T00:00:00+09:00
1121日 センゴク http://suishodo.net/archives/2010/03/1121.html
センゴク 全15巻(宮下英樹/講談社)

織田信長の天下統一を、木下藤吉郎配下の仙石権兵衛の視点から描いた物語。
実際の史実に基づいて描かれてはいるけれども、姉川の合戦や、三方ヶ原の戦いなど、これまで常識とされてきた内容ではなく、独自の新説を打ち立てて描いている部分もあり、その点はとても客観的で学術的な内容になっている。

信長がおこなった戦のうち、歴史的に重要な戦というよりも、話題性のあるような戦を特に取り上げていて、それを更に自由に想像を膨らませて描いているものが多いので、とてもドラマチックな仕上がりになっている。

武将のキャラクターも、一般的なイメージとして定着しているものとは大きく変わって描かれていることがあり、特に、明智光秀と徳川家康は、相当オリジナリティーがある解釈で個性を出していて、それがかなり面白い。

 
気持は十分にありました!でも!一人では大軍に太刀打ちできませんっ!
ふん、ならば貴様も大軍を率いればよかろう・・(1巻p.121)
我が軍の武士は失敗を恐れなにも行動をおこさぬが悪・・そして・・・失敗の折にそれを隠し取り繕うことこそ極悪・・そのときはその首、即刻叩っ斬る(2巻)

 
我が三河・徳川家は甲斐の虎・武田信玄、尾張の昇龍・織田信長、どちらかに与するしか選択肢はなかった。そしてワシは・・ただ織田家に張ったのみ。あとは賭けた相手に地獄の果てまでつきあうしかねえだろうよ・・(4巻)
お嬢ちゃんからお婆ちゃんまでみんなみんな、このワイを・・本願寺顕如をあてにせぇ。そんでみんなで極楽浄土へ行こうや・・(7巻p.12)

 
東に伊吹山、南に源氏物語で有名な石山寺、西にはかの比叡山を臨み、北の小谷城、あれが炎で赤く染まって初めて絶景となろう。(8巻)
この最強の軍団に--攻撃命令が下された。(10巻)

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suisho 2010-03-04T00:00:00+09:00
1120日 生姜焼き http://suishodo.net/archives/2010/03/post_807.html IMGP8105.JPG
いよいよ炊飯器がお目見えして、ご飯が使えるようになったことで、試せるメニューの幅が圧倒的に広がった。

【材料】
豚肉肩ロース(生姜焼き用)
キャベツ
フルーツトマト
じゃがいも

【調味料】
醤油

砂糖
生姜

肩ロースの肉を吟味していたところ、「生姜焼き用」というのがあって、これは他の肩ロースよりも厚切りになっていて、たしかに生姜焼きには丁度いい。専用を名乗っているだけのことはある。

手順は「LIFE」のものを参考にした。
この作り方の特徴は、豚肉に下味をつけてから焼くのではなく、先に焼いて脂を除いてから、後で調味料と生姜を加えるというところ。これは、本当にびっくりするぐらいに美味くなる。
付け合せは、千切りキャベツとフルーツトマトとふかしいも。

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自炊 suisho 2010-03-03T00:00:00+09:00
1119日 人形の家 http://suishodo.net/archives/2010/03/post_805.html
人形の家(イプセン/岩波書店)

現代のトレンディドラマで扱ったとしても、全然違和感を感じないだろうテーマの新しさにびっくりした。自分の周りの友達からも、この物語の中で起こったことと非常によく似た話しを時々耳にしてきた気がする。

主人公ノーラと同じようなことを考えて唐突に目覚める女性は、現代にこそますます多くなっているだろうし、この「人形の家」という素晴らしい参考書(過去問題集)があるにも関わらず、その突然のアクシデントの勃発に面くらう男もやはり多くいるにちがいない。

「人形の家」という言葉の意味が最初わからなかったけれど、読み終わってみて、とても秀逸なタイトルだったことに気づいた。
時代や国を越えて、多くの人に共感を与えられることが名作の条件だとすれば、この作品は、間違いなく不朽の名作と呼ぶにふさわしいと思う。


【名言】
ノーラ:あなたは一度も、あたしをわかってくださらなかった。あたしはとても間違った扱いを受けていたのよ、トルヴァル。最初はパパに、それからあなたに。
ヘルメル:何だって!われわれ二人に、誰よりもお前を愛した二人にだって?
ノーラ:(頭を振って)あなた方は、あたしを愛していたんじゃないわ。ただかわいいとか何とか言って、面白がっていただけよ。
ヘルメル:何てことを言うんだ。ノーラ!
ノーラ:ええ、そうなのよ、トルヴァル、パパと一緒にいたころ、パパは何によらず自分の思うことをあたしに言ったわ。だからあたしも、同じように考えた、そして、もし、考えが違えば、あたし、隠したわ、だって、パパには気に入らなかったでしょうからね。パパはあたしを赤ちゃん人形と呼んで、あたしが自分の人形と遊ぶように遊んだわ。それからあたしは、この家へやってきた。(p.160)

ヘルメル:家も、夫も、子供も捨てて!世間が何と言うか、お前はお構いなしなんだ。
ノーラ:そんなこと気にしちゃいられないわ。わかっているのは、こうしなくちゃならない、ってことだけよ。
ヘルメル:何というけしからん!お前は自分の、いちばん神聖な義務を放棄するんだぞ。
ノーラ:何があたしのいちばん神聖な義務だ、っておっしゃるの?
ヘルメル:そんなことまで言わなくちゃならないのか!夫と子供たちに対する義務じゃないか?
ノーラ:あたしには、同じように神聖な義務がほかにあるわ。
ヘルメル:そんなものはない。どんな義務だ?
ノーラ:あたし自身に対する義務よ。
ヘルメル:お前は何よりまず妻で、母親だ。
ノーラ:そんなこともう信じないわ。あたしは、何よりもまず人間よ。あなたと同じくらいにね、少なくとも、そうなるように努めようとしているわ。そりゃ世間の人たちは、あなたに賛成するでしょう、トルヴァル、それに、本で言ってるのも、そういうことよ。でも、あたしは、もう、世間の人の言うことや、本に書いてあることには信用がおけないの。自分自身でよく考えて、物事をはっきりさせるようにしなくちゃ。(p.164)

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suisho 2010-03-02T00:00:00+09:00
1118日 けんしん http://suishodo.net/archives/2010/03/1118.html DSCF9629.JPGDSCF9630.JPG
「新潟県信用組合」を略して「けんしん」。
普通に考えたら「にいしん」になるところを、新潟だけはこう略すらしい。
素晴らしい郷土愛と思った。

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出来事 suisho 2010-03-01T00:00:00+09:00
1117日 栗おこわだんご http://suishodo.net/archives/2010/02/1117.html DSCF9619.JPG
新潟の弥彦にしかないという伝説のおこわ。
栗おこわが、醤油ベースで甘しょっぱい。
これだけでもクセになる構造のところ
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さらに中に餡だんごがまるごと。
かなりいい。

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suisho 2010-02-28T00:00:00+09:00
1116日 FRINGE http://suishodo.net/archives/2010/02/fringe.html fringe.jpg
「フリンジ・サイエンス」というのは、疑似科学のことであるらしく、幽体離脱やテレポーテーションや透明人間など、通常の科学の範疇から外れたなテーマを扱うもので、それだけで、かなり面白そうな雰囲気がする。
いきなり、死者の記憶を読み取るという、清水玲子の「秘密」で見たような展開から始まり、しかもFBIやハーヴァード大学がそれを大真面目に研究しているというスケールの大きさが最高に良い。

ドラマでよくここまで制作費をかけられるな!と驚くぐらいに、映画並みのクオリティーで細かいところまでよく作りこまれている。第1話を作るだけで1000万ドルかかっているらしい。
この調子で連続ドラマを作り続けていたら、いったいどれだけコストがかかるのか想像もつかないけれど、それでもペイすると見込めるほどの自信作なのだろう。
実際、かなり先の展開が気になる構成になっていて、隠し要素や、謎めいたアイコンなど、話題を生み出すような要素が散りばめられているので、口コミで大きく広がっていくポテンシャルを持っている作品だと思う。

DVDの特典映像として、第一話全編にわたって監督がコメンタリーをつけているものが収録されているのだけれど、これが、制作の舞台裏がよくわかる話しで、作品そのものに匹敵するぐらい面白い。

ファーストシーズン第1~5話 2010/2/24(水)レンタル開始
http://wwws.warnerbros.co.jp/fringe-dvd/

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映画 suisho 2010-02-27T00:00:00+09:00
1115日 水炊き http://suishodo.net/archives/2010/02/post_808.html  
シンプルに水炊き。
鶏肉だけでなく、牡蠣も加える。
鍋は、どう転んでも失敗しようがないという安心さがある。

【材料】
白菜
豆腐
まいたけ
牡蠣
鶏ムネ肉
ネギ

【調味料】
昆布(だし)
ポン酢醤油

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自炊 suisho 2010-02-26T00:00:00+09:00
1114日 コレラの時代の愛 http://suishodo.net/archives/2010/02/post_801.html
コレラの時代の愛(ガルシア=マルケス/新潮社)

コロンビアを舞台に、一人の人間の青年期から老年期までを追い続けた、長い長い物語。
まったく相手にされていないにも関わらず、長年にわたって一方的に一人の人を愛し続けるというのは、客観的に見るとかなり倒錯していて不気味な感じではあるけれど、それが50年以上も続くとなると、これはもう敬うべき偉大な執念と呼ぶしかない。

なにしろ、半世紀以上もの長きにわたる物語なので、その途中には、色々とサイドストーリー的な小咄が挿しはさまれていて、それが一層、主人公の一途な妄執をよく示すエピソードになっている。
といっても、あっても無くても本筋にはあまり関係のない話しばかりなので、ちょっと冗長な感じはした。退屈な部分が多いので、そういうところを読む進めている時が、ちょっとツラい。

ヒロインであるフェルミーナ・ダーサの無慈悲なまでの心変わりや冷酷さは、見ていておいおい!と思うところもあるけれど、実際そういうものだろうという気がするし、そこまで絶望的な状況にもかかわらず未練を捨てることが出来ない主人公フロレンティーノ・アリーサのほうも、やや極端であるとはいえ、これもまた実際によくある姿なのだと思う。
「百年の孤独」にも匹敵する、とても大きなスケールの物語だった。


【名言】
彼女は刺繍から目を放さずに、<父の許しがなければ受け取れません>と答えた。フロレンティーノ・アリーサは温かみのあるその声を聞いて思わず身体を震わせたが、今にも消え入りそうなその声を生涯忘れることができなかった。しかし、彼は毅然とした態度を崩さず、すぐに<では、そうしてください>と言ったあと、その命令口調を和らげようとして哀願するように付け加えた。<これは生死にかかわる問題なのです>。フェルミーナ・ダーサは顔を上げなかったし、刺繍の手も休めなかったが、心を決めて扉を少し開いた。その隙間は全世界が入るほど広かった。(p.94)

際立って美しく、魅力的な彼女が街路の敷き石の上をヒールの音を響かせて歩いているのに、どうしてみんなは自分のように心を奪われないのだろう、スカートのフリルがため息をつくように翻るのを見て、どうして心が騒がないのだろう、揺れ動く髪の毛や軽やかな手の動き、黄金の微笑みを見て、どうしてみんなは彼女に恋しないのだろうと不思議に思った。(p.152)

自分とそれまでずっと仇敵のように思ってきたこの男は同一の運命の犠牲者であり、共通の情熱に振り回されているに過ぎない。言い換えれば、自分たちは同じくびきにつながれた二頭の家畜なのだ。フロレンティーノ・アリーサは二十七年間の長きにわたってひたすら待ち続けた。そのときはじめて自分が幸せになるためには、敬服すべきこの男に死んでもらうしかないと考えて、突き刺すような耐えがたい痛みを覚えた。(p.278)

数分間、疲労に負けて眠り込んだ。目を覚ますと、彼女はベッドのそばの小さな明かりをつけ、目は開けていたが泣いてはいなかった。彼が眠っている間に、何か決定的なことが起こったのだ。長い年月をかけて、澱のように積もり積もったさまざまな感情が嫉妬の炎でかき立てられて表に現れ、一瞬にして彼女を老い込ませた。あっという間に皺が増え、唇は色が褪せ、髪に白いものが混じりはじめた。(p.361)

人生が巡りめぐって、ようやく彼の望んでいた地点にたどり着いたのだ。あとはすべて彼の問題だった。それまで五十年以上自分だけの地獄を生きてきたが、この先もまだ数々の厳しい試練が待ち受けているはずだった。たっだし、今度こそ最後の試練になるはずだから、以前よりも強い熱意と苦悩、それに愛情でそれらに立ち向かう覚悟ができていた。(p.419)

こんなに近い距離で向き合い、ゆっくり落ち着いてお互いの顔を見つめ合うのはこの半世紀間に一度もなかった。お互い目の前にいるのは、つかの間の過去の思い出を別にすれば、何ひとつ共有するものを持たない、死を間近にひかえた老人であり、今の二人にとって若い頃の自分たちは孫といってもおかしくない年頃の人間だった。この人はようやく自分の夢がかなわぬ夢だと悟ったのねと彼女は考え、そのことで先の非礼な行動を許してもいいような気持ちになった。(p.440)

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suisho 2010-02-25T00:00:00+09:00
1113日 十日町 http://suishodo.net/archives/2010/02/1113.html IMGP8111.JPG
新潟県十日町市の深い雪

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出来事 suisho 2010-02-24T00:00:00+09:00