ミスチル「終わりなき旅」【人生を変えた一曲】

この曲を初めて聴いたのは、まだこの曲が発売される前に、偶然、インターネット上に落ちていた音源を拾ったのがきっかけだった。

たぶん、ラジオで限定的に放送されたものを録音したものか、それか、スタジオ録音でのデモ音源が流出したものだったのかもしれない。

この時期、ミスチルは活動を休止していて、解散するのではないかと噂されていた頃で、ミスチルの新しい曲を聴くのはかなり久しぶりのことだった。

その時ネットで拾った音源はどこかにいってしまったので、もう聴くことが出来ないのだけれど、その時の曲は、のちにCDで発売されたバージョンとは微妙に違っていた。
バイオリンのソロからフェードインしてイントロが始まった後、桜井さんの歌が淡々とかぶさる。その声は、CD版のものよりも静かで、つぶやくような声で、形容しがたい迫力があった。

その歌を初めて聴いた時は、こんなにも美しい歌が存在するのか、という驚きで、全身に鳥肌がたった。

音楽を聴いて、そこまでの感動をおぼえたのは、初めてのことで、その日、何度も何度も繰り返し聴き続けた。

その時に会社を辞めることを決めて、次の日、上司に辞意を伝えた。

会社を辞めるということは、その前から考えていたことではあったので、この曲に出会ったことがすべての理由ではないけれども、最後に背中を押してくれたのは、確かにこの曲だった。

他のタイミングで聴いていたら、そこまでの感動はなかったかもしれない。
このタイミングで出会わなかったら、そのまま、辞めるきっかけを失って、ずっと仕事を続けていたかもしれない。

そういう仮定に意味がないことはわかっているのだけれど、人生を変えた一曲というものがあるとしたら、自分は迷わずにこの曲を挙げるだろう。