コーンウォールの景色

 
教会や墓地には、霧がよく似合う。
ランズ・エンドを含む、イギリス南西端のコーンウォール地方は、どこに行っても霧が立ち込めていた覚えがある。陽が射すわけでも、大雨が降るわけでもなく、かすかな霧を通した風景を眺めることが多かった。
 
家の門柱には、沖縄のシーサーのような、魔除けの石像らしいものが置かれている。ちょっと間の抜けた顔で、あまり頼りにならなそうだけれど、人外のものの侵入を監視するという意味では、オートロックなどより余程あてになるんだろうと思う。
 
コーンウォールの景色で一番気に入ったのは、山の中を歩いていた時に見つけた、名も知らぬ水道橋。由来も年代もわからないけれど、見た目ではだいぶ古いものな感じがする。
 
湿気が多いためなのか、山の中には苔の緑が多く、大昔に滅びた古代都市のような風情をただよわせていて、それがたまらなく良かった。