リール・シュル・ラ・ソルグ(L’lsle sur la Sorgue)は、運河と水車の街。こんこんと湧き出る水が街のいたるところを流れていて、ヨーロッパでは有名な観光地らしい。
アビニョンからローカル線に乗って20分くらい。電車の本数も少なく、ちょっと不便なところにあるので、近くの街に前泊していないと日帰りは難しいかもしれない。
街を流れる水路の透明度は驚くほどで、川底に揺れる水草の上を鴨やアヒルが通り過ぎてゆく様は、とても街の中の風景とは思えない。
カフェに入ると、周りの人々の国籍は様々。英語やドイツ語があちこちから聞こえてくる。隣りに座った老夫婦はベルギーからの旅行者で、TGVで8時間かけてここまで移動してきたという。カフェのランチはとてもシンプルで量が多く、素朴な感じの料理だった。
リールは骨董の街でもある。アンティークの店が200以上の小さい街の中にひしめいていて、更に日曜日には骨董市まで開催される。自分が行った日はちょうど運良く日曜日で、どこを見渡してもアンティークショップと運河ばかりの景色だった。
銀食器や家具の他にも、暖炉に空気をおくる「ふいご」のような珍しいものも色々と売られている。フランスの学校で教材として使われている日本の地図もあった。
リールは、どこを見ても自然豊かな、とても風光明媚な場所だ。
初夏の日差しの中、花と鳥と風がいっぱいに満ちていて、月の代わりに水が、街を取り囲むようにして包んでいる。これほど南仏らしい街も珍しいのではないかと思う。