圧倒的なスピードで物事が変化していて、一年先の未来もよくわからないこの時代。
今の子どもたちが大人になる頃には、いったいどんな世の中になっているのか。
自分なりに予想をしてみました。
将来起こる悪いこと
まずは悪い面の予想から。
熱帯雨林の消滅や、海洋汚染、地球の温暖化、生物種の絶滅、といった環境破壊が現時点でもかなり進行していますが、これはもう、やり直しがきくポイントを既に通り過ぎてしまっていると思います。
そして、指数関数的に物事が推移する世界では、特異点を過ぎた次の瞬間には、圧倒的に加速して変化していってしまうことが常です。
北極の氷はどんどんと溶け出していき、絶滅した種が復活することはなく、砂漠化した荒野は回復不能なダメージに達しています。
さらに、発展途上国での人口の増加によって、環境の悪化は一層深刻になっていくはずです。
日本に住んでいると、なかなか実感がしにくいことですが、地球規模で起こっている出来事なので、日本人だけが無関係に過ごすというわけにはいかないでしょう。
海も空気も世界中でつながっていますし、エネルギーや食料を海外の国に依存しているからには、経済的な影響は確実に受けることになります。
将来の見通しはかなり暗いと言わざるをえないです。
将来起こる良いこと
それでは今度は、良い面の予想を考えてみましょう。
食料の問題については、農業や畜産が、AIも利用してかなり効率化されていることから、今後ものすごい勢いで供給力が上がっていくと思われます。
面積あたりの生産量が上がって、しかもコストも下がっていけば、その技術は世界中に行き渡って、発展途上国であっても生存に必要なカロリーと栄養を皆が受け取ることが出来そうです。
医療技術も同様に、技術が上がりながらもコストは下がって、全世界的に死亡率は下がっていくのでしょう。
そして、エネルギー問題についても、太陽光や風力などから電気を生み出す技術が向上していき、蓄電池の性能も良いものになっていくことで、将来的には全世界の電力を供給可能になってなお余りあるだけのエネルギーが手に入るのではないかと思っています。
こうなってくると、人間が生存するための最低限のラインはすべての人がクリア出来る条件が確保されるように思います。
残された問題は、物理的なスペースが限られているということです。砂漠化や環境汚染が進むことで人が住める面積はどんどん少なくなっていく一方で、人口は増加を続けていくからです。
行き着く先は仮想世界しかない
そこで起死回生の手段として脚光を浴びるのが、VR(仮想現実)の技術です。
ヘッドマウントディスプレイの解像度が上がって、もはや人間の目にはディスプレイの画像と現実の景色の区別がつかなくなり、仮想空間の中にもうひとつの世界があるも同然の時代がやってくると思います。
仮想空間の中には物理的なスペースの成約はありませんし、娯楽も買物も友達との交流もそこで完結出来るようであれば、家の外に出る必要がなくなります。
運動不足が心配になりますが、将来的には必要十分な栄養とカロリーが完璧にコントロールされた食事が、それぞれの人に合わせて提供されるようになって、肥満の心配はなくなっているかもしれませんね。
制約にあふれている現実世界よりも、あらゆることが実現可能な仮想世界のほうが居心地がいいので、人はみんな家の中でヘッドマウントディスプレイを付けて一日中いることが標準の状態になるのではないでしょうか。
座って、横になれるスペースがあればいいので、少ない面積の中でたくさんの人が生活出来ます。都市部に人が集まって、タワーマンションのような高層ビルがあれば、その中に何万人も入れそうです。
ふと我に返って、ヘッドマウントディスプレイをはずして周りを見ると、ブロイラーの鶏が詰め込まれた養鶏場に似た景色が広がっているのでしょう。
これはディストピアかユートピアか
この未来予想の風景は、人類の終末を予感させるディストピアの世界にも思えますが、しかし、見た目とは裏腹に、主にVRの世界の中に暮らすことになった一人ひとりの生活の質(Quority of Life)はかなり高いのではないかと思います。
空腹もなく、争いごともなく、交通事故もなく、やりたいと思ったことは大抵のことがすぐに実現し、ヒマをつぶすための楽しい娯楽は無限にあるのですから。
どんな未来が訪れるのかは誰にもわかりませんが、ここで予想したような未来が待っているのだとしたら、それはずっと先のことではなく、案外とすぐ近くのことであるように思います。