ひかる、ゆかっち夫妻の結婚1周年祝いにて、劇場を借り切って観た映画。劇場内は知り合いしかいないので、自宅じゃないのに自宅感覚で観れるというのは新しかった。
最近、近未来SFは、何を観てもジョージ・オーウェルの「1984年」と比べて考えてしまう。管理社会が超進化した場合、どのような社会になるのかというのは、普遍的なテーマで、作り手の特徴が出て面白い。そこにスピルバーグが挑戦したら、こういう映画になりました、という感じだった。
この「イーグル・アイ」は、情報管理の過激さと、敵ボスの強さという点で他の作品とは一線を画していて、そこに、職業軍人でもテロリストでもない一般市民が対抗するというというのは、かなりエキサイティングだ。
敵の、執拗な追跡は本当に恐ろしかった。追い詰める手順が的確なだけでなく、瞬時に対応を変えてくる柔軟さと、街全体を自在にコントロール出来る万能な攻撃力。この、絶望的なまでの戦力差が、そのままこの映画の醍醐味といえると思う。
一番スゴかったのは、音声が傍受出来ない防音室に入った後の、敵の対応だった。ネタバレになるので詳細は書かないとして、こういう細かい見せ場をちょいちょい入れてくるところが、スピルバーグの真骨頂なのだろう。
ストーリーは、相当に荒唐無稽で、ギャグとしか思えない場面も多々あって、いきなり電車が逆走するところや、工場のクレーンまでもが遠隔操作されてしまうのには爆笑した。
しかし、エシュロンの例もあることだし、実際、携帯電話なんか、どこまで隠密裏に情報が取得されているものだかわかったものじゃないしで、単なるフィクションとして片付けられないところもある。
そういう、個人情報統制への軽い反政府メッセージを含ませた、啓蒙映画といった雰囲気がする作品。
■イーグル・アイ(2008年)
http://www.eagleeyemovie.com/intl/jp/
主演:シャイア・ラブーフ、ミシェル・モナハン
監督:D・J・カルーソー
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ