Real Clothes(現在7巻まで発売中)(槇村さとる/集英社)
これは、素晴らしくいい作品に出会った。
主人公の気持ちの描写がものすごく丁寧で、共感してしまう。いい言葉がいろいろとあって元気が出る。
あと、絵が上手い。安彦良和氏の絵を見た時にも感じることだけれど、シンプルに崩して描いてもなお上手いというのは、相当な技術なのだと思う。
百貨店の婦人服売場が舞台という、自分がまったくよく知らない職種と業界の話しであるところも面白い。ファッションというものの奥の深さを感じることも出来るし、プライベートと仕事両方のバランスを考える女性の葛藤もよく伝わる。
かなり個性ある強烈な登場人物が色々出てくるけど、それぞれにちゃんとポリシーがあって、カッコよくて、最終的にはみんなそれぞれの良さを持っているというところも好きだ。
【名言】
一番重要なのは、だれと出会うか。
次に重要なのは、信頼に応えること。
相手にしてはいけないのは、他人を利用しようとする者
他人に犠牲を求める者。
やわらかくはっきりと拒否する。(2巻p.140)
着てみてはじめてわかる
服が体におよぼす影響
黒のシャープなジャケットとパンツだと世界をひとまたぎできそうだけど
ヒラヒラワンピだと南の島にいるみたい。(3巻p.39)
仕事は筋肉なんだよ
サボったらもう一日一月一年
心も体もどんどん世界についていけなくなっちゃうんだよ(4巻p.29)
それは・・こわいから・・働いてないと不安だから。
私は芯のしっかりした強い人間でも、会社でかけがえのない個性のある人間でもない。
自分の食いぶちを自分で何とかする力がなくなったら、もう・・人・・人として立ってる自信なくすから。
それを、どうせ・・って言うの?
どうせ小遣い稼ぎとか、どうせパート仕事とか言うの?(4巻p.84)
フツーに会社入って、フツーに女の人とつきあって、
フツーに結婚できる自分なんだって思えると安心できた。
何の根拠もなく。
でもフタを開けたら、甘かった。(5巻p.41)
私だって、明日のことなんか何も考えずにフトン売ってた。
美姫様というとんでもない大先輩に出会って、はじめて将来を思った。
はじめて自分の現実の姿を見た。
明日、どんな自分になりたいかを考えた。(6巻p.90)
私・・洋服が好きで絶対この世界で生きる、って決めてました。
やっと気付いたんです。
自分の洋服の宇宙を表現しなきゃ、って。(7巻p.126)
ぴたりと合う服は自分の精神を表現しているものだと思います。
それから・・悩む力がある人はいつか自信を手に入れられると思うわ。(7巻p.196)