ONE PIECE(34~45巻)(尾田栄一郎/集英社)
34巻から続いた「水の都編」も45巻で完結。
この章だけで十分に一大長編といっていいスケールだ。
話し自体のスケールも、組織や街そのもののグランドデザインから作り上げられていて、とにかくデカい。
また随分とたくさん新キャラクターが登場したけれど、それぞれ、バックグラウンドや個性が明らかになっていくにつれて、登場時からどんどんとキャラクターとしての厚みと存在感を増しながら、進化していくところがいい。特に好きだったのは、カクとアイスバーグだった。
一つの章の中で、大きく、ウォーターセブンとエニエスロビーという二部構成になっているところも良かったし、フランキーの過去や、ロビンの過去などのエピソードも、絶妙なタイミングで本編と絡みあう仕掛けになっているところも見事だった。
章が完結してからあらためて読み返してみると、登場した時はさほどメインとは思えなかったキャラが、のちになって重要人物に変化していく様子がわかって面白い。
この変化は、なりゆきまかせで、いきあたりばったりで進めているのかどうかを見直してみたのだけれど、大筋の流れは、初期の段階からかなりはっきりと決めた上で連載をしているらしかった。この、下地となっている設定の周到さから生まれる、統一された世界観は、安定した連載を可能にしている大きな要素だと思う。
長期連載で、ここまでクオリティーが落ちない作品というのもスゴい。