自分の所有物ではないもの

人間関係の衝突の多くは、他人を自分の所有物であると思い込んでしまうところから生まれているんじゃないかという気がする。
しかし、世のどの関係においても、誰かが誰かの所有物であることなどあり得ない。
子供は親の所有物ではないし、部下は上司の所有物ではないし、妻は夫の所有物ではない。
他人への執着は、一見すると、愛情と似た部分があるからわかりにくいけれども、それが「自分のものであると思うから」大切にするのか、「自分のものではないと知りながらも」大切にするのかで、その意味はまったく異なってくる。
実際のところは、他人ばかりか、自分自身すら、自分のものではない。
自分で自分を生みおとした人がいない以上、自分自身もまた徹頭徹尾、自分のものではないのだ。
自分のものではないのに、自分の所有物だと勘違いするから、適切な範囲を超えて支配を及ぼしたいという欲が起こってしまい、結局のところ、その欲が多くの争いを生み出してしまうのだろうと思う。