去年の暮れから、時々、鎌倉の禅寺に座禅に通っている。
座禅では、眼を閉じるでも開くでもなく、その状態でじっと何も考えずに呼吸を整える。
眼も閉じず、何を考えることもしないというのは、意外に難しい。
夏の間は、寺の本堂で外に向かって座るので、耳にはうるさいぐらいのセミの鳴き声が聞こえてくる。それで気がついたのは、セミの声に耳を傾けている時というのは、余計なことを考えずに集中するにはとてもいい状態だということだった。
冬、シーンとしている時というのは、かえって気が散って落ち着くことが出来ない。
毎回、30分間の座禅を2回やる。
その間、「数息観」と言い、自分の呼吸を数え続ける。
30分くらい、テレビを見たりしている時はあっという間だけれども、座禅の間の30分というのは、ものすごく長く思える。
師である若林和尚の話しでは、肝心なことは姿勢と呼吸の2つだけなのだという。
そのどちらもが、意識をすることなく自然に出来上がった時、理想的な心の状態が生まれる。
それがどういう状態なのか、理解するにはまだまだ時間がかかりそうだ。