独自の視点で戦国時代を再検証したマンガ「センゴク」


センゴク 全15巻(宮下英樹/講談社)

織田信長の天下統一を、木下藤吉郎配下の仙石権兵衛の視点から描いた物語。

資料をもとに再検証された戦国時代の描写

実際の史実に基づいて描かれてはいるけれども、姉川の合戦や、三方ヶ原の戦いなど、これまで常識とされてきた内容ではなく、独自の新説を打ち立てて描いている部分もあり、その点はとても客観的で学術的な内容になっている。

信長がおこなった戦のうち、歴史的に重要な戦というよりも、話題性のあるような戦を特に取り上げていて、それを更に自由に想像を膨らませて描いているものが多いので、とてもドラマチックな仕上がりになっている。
武将のキャラクターも、一般的なイメージとして定着しているものとは大きく変わって描かれていることがあり、特に、明智光秀と徳川家康は、相当オリジナリティーがある解釈で個性を出していて、それがかなり面白い。

名場面


気持は十分にありました!でも!一人では大軍に太刀打ちできませんっ!
ふん、ならば貴様も大軍を率いればよかろう・・(1巻p.121)


我が軍の武士は失敗を恐れなにも行動をおこさぬが悪・・そして・・・失敗の折にそれを隠し取り繕うことこそ極悪・・そのときはその首、即刻叩っ斬る(2巻)


我が三河・徳川家は甲斐の虎・武田信玄、尾張の昇龍・織田信長、どちらかに与するしか選択肢はなかった。そしてワシは・・ただ織田家に張ったのみ。あとは賭けた相手に地獄の果てまでつきあうしかねえだろうよ・・(4巻)


お嬢ちゃんからお婆ちゃんまでみんなみんな、このワイを・・本願寺顕如をあてにせぇ。そんでみんなで極楽浄土へ行こうや・・(7巻p.12)


東に伊吹山、南に源氏物語で有名な石山寺、西にはかの比叡山を臨み、北の小谷城、あれが炎で赤く染まって初めて絶景となろう。(8巻)


この最強の軍団に--攻撃命令が下された。(10巻)