読み上手 書き上手(齋藤孝/筑摩書房)
「読む力」と「書く力」が互いに強く連動しているということには、とても共感する。この本が説明している、読むだけではなく、「読んだ後に書く」やり方というのは、素晴らしく理にかなった方法だと思う。
「本屋のポップを書くつもりで書く」や、「マンガをノベライズするつもりで書く」など、ちょっと変わった視点での書かせ方も面白い。
齋藤孝さんという人は、本気で、読者がどんな人であっても「読み上手、書き上手にする」ということを目指してこの本を書いているんだなあということが伝わってくる。
出来る人がやればいいとか、分かる人だけ分かってもらえればいいという説明の仕方ではなく、どうやったら誰にでも実践出来る説明になるかということを、とことん考えているのだと思う。
この本は特に、学生を中心にした話しが多いので、読書感想文の作文や、就職のエントリーシートをどのように書くかという実践的な内容も多く含まれている。本のテーマ的にも、学生にとって一番役に立つ内容だろうと思う。
【名言】
推薦文がなぜ書きやすいかというと、自分が気に入ったものを他の人に伝えたり、広めたいという気持ちは、みんなが持っているものだからです。
感想文は自分の感想だけで終わってしまいますが、推薦文は、外に向かって広がっていく文章なので、書きたいというモチベーションがあがります。(p.50)
作家でも三島由紀夫、川端康成、谷崎潤一郎、大江健三郎・・と挙げればきりがないですが、読書量が半端ではありません。大江健三郎などは、小さいときに町の図書館の本を全部読んだというぐらいです。三島由紀夫も尋常ではない量の本を読み、どんなことについても語ることができました。
そういう人達が、本当にレベルの高いものを書いていたのです。素晴らしい文章を書くためには、たくさんの本を読んでいることが絶対に必要で、天才的な書き手は読まなくても書けるのだ、というのは思い上がりもいいところです。(p.121)