マッドメン


マッドメン(全2巻)(諸星大二郎/創美社)

ニューギニアの未開部族を舞台にした、おどろおどろしい話し。
日本とニューギニアは民俗学的なつながりがあると聞いたことがあるけれども、その古来の神話をモチーフにした、かなり変わった作品だ。こんなマンガを描ける人は諸星大二郎以外にはいないだろう。
人類がもともと持っていた智恵の多くは、現代までの間に失われてしまっている。それは、文明化によって必要性がなくなってしまったものだけれど、それらを今に伝え続けている部族も、この地球上にはある。テレビ番組では決して報道されることがない、密かに護り伝えられてきた儀式と技術。
宮崎駿や水木しげるも、日本の伝統的な精霊を描くけれども、このマッドメンはもっと暗く、人間の原初的な、神に対する畏敬の感情を、独特のタッチで表現している。他に類をみない、かなりユニークな作品であることは間違いない。
【名言】
おまえたちは何も知らない。おまえたちがばかにしているあの小さな村の住人こそ、おまえたちの聖書がいう無原罪の人間なのだぞ!(2巻 p.37)