ローテンブルク


 
ローテンブルクは、周りを城壁に囲まれた小さな町だ。
町で一番高い、市庁舎の塔の上に登ると、Rothenburg(赤い城)という名のとおり、城壁の内側が、赤い屋根の家で埋めつくされている様子がわかる。13世紀に帝国自由都市として繁栄したローテンブルクは、中世の雰囲気がかなり色濃く残っている。
 
この町の名物でシュネーバルというお菓子があって、これが旨かった。小麦粉生地をぐるぐると丸めて油で揚げた上に、粉砂糖やチョコレートをかけてある。ドーナツよりもずっとサクサクしていて、いかにも「お菓子!」という感じで、とても好み。
 
聖ヤコブ教会のすぐ向いにあったアンティークショップで、一枚の古ハガキを見つけた。消印の日付は読めなかったけれども、だいぶ古い年代にプラハから投函されたものであるらしい。雰囲気と字体の面白さに惹かれて、買ってしまった。
プラハからローテンブルク宛に出されたそのハガキが、何の縁でか日本に来ることになるとは、差出人は想像もしなかっただろう。その、ハガキの運命の数奇さを楽しむために、連れて帰ってきたような気がする。