奈良・中宮寺

奈良の寺の中でも、特に好きな寺。
中宮寺は法隆寺の伽藍とひと続きになっていて、夢殿のすぐ近くにあるので、法隆寺とあわせて行きやすい。
中宮寺というのは、その建物の外観と建て方からして、かなり独特な路線をいっていて、近代建築のような斬新さがある。
入口の階段から延びる道は池の上を通る形になっていて、建物の半ばまでは池の上に浮いた状態になっている。まるで能舞台のような、周囲の空間とはくっきりと切り離された場所だ。
中は、畳敷きの部屋が一間と、その奥に、観音像一体と如来像が二体あるのみで、ものすごく狭い。だから、やることは、畳の上に座って観音像と対峙する以外には何もない。
この観音像(菩薩半跏像)は、黒く金属的な光沢を放っていて、とても木でできているようには見えない。この像の雰囲気は本当に不思議で、見飽きるということがない。