人は、一度受けた屈辱は、とても忘れにくいか、決して忘れられないようになっている。だから、他人の尊厳を傷つける言葉を吐くというのは、そのことでたとえ一瞬スッと気分がよくなったり、場が盛り上がったとしても、その代償はとても高くつく。
親子だろうと、夫婦だろうと、交わされた言葉というのは時間とともに薄れることはあっても、溶けてなくなるものではなく、澱のように沈殿をして死ぬまで消えることはない。
親しい間柄であれば許されるだろうというのは勝手な思い込みで、むしろ、親しい間柄であるほど、その関係を壊すことのないよう、細心の気を配らなければならないのだと思う。