コンタクト


コンタクト

この映画が問うているのは、人が、もし自分たちの文明をはるかに超えた生命体に出遭った時に、それを理解する助けになるものは科学か、それとも宗教か、という命題なのだと思った。
この映画では、地球外生物に接する地球人のモデルとして、非常に強い探究心を持ったエリーという人物を提示した。主人公のエリーは、生粋の科学者でありながら、哲学的な自己批判の精神をも持ち合わせている。
特定の宗教を無条件に信頼することもなく、かといって、科学で証明出来ることの限界を知らないわけでもない。だからこそ、彼女は地球外生物とのコンタクトから大きな気づきを得ることが出来た。
人類がかつて遭遇したことのない事態に直面した時、必要になるのは、これまで自分が持っている常識を壊しながら、いかにして新しい枠組みを論理的に構築出来るかという知性なのだと思う。
設計図を入手したというだけで、技術的なことはわからなくても何故か星間移動の宇宙船が作れてしまうという、非現実的なところもあるけれども、それは話しの展開上しかたないところだろう。
SF映画というよりは、文学小説のような映画で、根源的な問いを観る者に投げかけてくる作品だった。
「コンタクト」(1996年)
出演:ジョディ・フォスター
監督:ロバート・ゼメキス