なんか、最初から最後まで、心が休まる間がないぐらいに緊張させられっぱなしの映画だった。アクションシーンの無茶さがかなりのレベルにいっていて、それも大きな要因なのだけれど、主人公の男女のテンションが常に高くて、まったく緩急がないということもある。
楳図かずおのマンガぐらいの、なんでいちいちそこまで感情を露わにする必要があるのかと思う過剰な反応っぷりで、とにかく張り詰め通しの2時間だ。一つ一つの行動が焦りすぎで、映像もブレブレだし、まったく落ち着いて見れなかった。
この、近未来の世界観や設定はとてもリアリティーがあった。病室のような、異様なまでにクリーンな世界の徹底ぶりは、背筋が寒くなるぐらい無機質で、ひんやりしている。
マトリックスの世界よりもずっと現実味があったし、一つの仮定として、この映画が描いているような動機での「人間のクローン複製」は、将来、充分にあり得る姿だと思う。
しかし、本筋のストーリーにはかなりの無理や不整合があるので、SF映画というよりは、どちらかというとアクション寄りの映画な気がする。
■アイランド(2005年)
出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン
監督:マイケル・ベイ