実在の、ノーベル賞受賞の経済学者をモデルにした映画というところが、一風変わっている。ただ、物語としては、だいぶ映画向きに脚色をしている感じもあり、ノンフィクションとしても、フィクションとしても、ちょっと中途半端な印象はあった。
ジョン・ナッシュという人物の、統合失調症との闘いや、プライベートな生活については詳しく描かれていたけれど、数学者としてどれだけ偉大であったかということについてはほとんど触れられていなかったので、あまり実在の人物を題材にする意味が出ていなかった気がする。
ラッセル・クロウの演技がものすごく上手い。あまりカッコいい役柄ではなく、変人の天才学者というキャラクターなのだけれど、その表現の仕方が、とてもそれらしかった。一人で、青年期から老年期まですべてを演じているわけだけれども、歳をとっていくメイクも、まったく違和感がない。
DVDには、未公開シーンが監督の解説付きで30分ほど収録されていて、これがとてもタメになった。どれも面白い場面ばかりなのだけれど、これが何故カットされたかという理由がそれぞれあって、映画の製作者の視点が良くわかる特典だったと思う。
出演:ラッセル・クロウ、エド・ハリス、ジェニファー・コネリー
監督:ロン・ハワード