これはとんでもない映像革命だと思った。
カーレースのシーンは、美しすぎて、ため息が出た。
観客で埋め尽くされたレーススタジアムの映像、背景のネオンサイン、コースの綺羅びやかさなど、どれをとっても最高で、感動ものだった。「F-ZERO」を思いっきりゴージャスにリアルにしたような世界観。
紙芝居的な画面切替や、ド派手でポップなアニメーション効果など、やりたい放題に遊びまくっている感じがする。日常生活からいきなりレースシーンに突入するような、型破りなテンポの良さも、とても好みだ。
映画のエンドロールというのはたいてい素っ気ないのだけど、この作品は最後の最後まで手を抜いていない。頭から尻尾の先まで、センスのかたまりのような作品だと思う。
ただ、ストーリーやキャラクターの基本的なテイストが、わかりやすいアメリカンコミックのノリで、そこだけが、どうもチープな感じがあって、馴染まなかった。
作り手側も、敢えてそれを前面に出してきている感じがあるので、確信犯的にやっていることなのだろうけれど、これはとても好みが分かれるところだと思う。
この際、ストーリー部分はおもいっきりカットして、レースのエンターテイメントにのみ徹した作品にしても良かったのではないかと思った。
やっていることはマイナー路線なのに、映像クオリティーは一級品、というそのギャップがたまらなくいい。センスあるオトナが、存分に楽しみながら映画を作ったらこうなった、という作品だ。よくぞ、こんな豪気な遊びをしてくれたと思う。
■スピード・レーサー公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/mach5/
2008年7月5日(土)より全国で上映中