風水先生レイラインを行く(荒俣宏/集英社)
神聖地相学という、なんだか「ダヴィンチコード」みたいな話しで、イギリスを中心に、世界中のあらゆる古代遺跡の場所を通っている、レイラインという線の不思議を追っていく。
著者が実際に現地に行って、レイラインに沿って移動をしていき、各地に点在する遺跡の起源にふれながら、それがいったいどういう意味を持つのかということを考察した本。
白黒ながら、写真もあちこちに散りばめられていて、それぞれの土地の雰囲気がよくわかる。あまり、学術的な内容ではなく、それよりは古代の謎を追跡するドキュメンタリーといった雰囲気になっている。
先日、イギリスに行った際には、この本の解説がとても参考になった。
レイライン沿いというのは、観光地というわけではないために、普通の旅行ガイドブックには載っていない。資料そのものが少ないので、こういう本の存在は貴重だ。
【名言】
ボスフォラスはギリシア語で「牛の渡り場」の意味である。英語でいえば「オックスフォード」といったところだろう。(p.133)
地球各地の時間と日付を決める国際子午線は今はイギリスのグリニッジが基準となっており、ここを通るのがゼロ時とされている。
けれども、それ以前は各国が勝手にゼロ時のラインを決めていた。そしてフランスはなんと、レンヌ=ル=シャトーと石棺があった場所を通る線を選んだ!一般には、この線がパリの真上も通過していることから、フランスの子午線はパリを基準にしたと思われている。だが、たまたまパリと同じ経度の上に、あのレンヌ=ル=シャトーは位置している。もちろん、パリよりもレンヌのほうがはるかに古く成立した都市であった。ということはもしかしたら実際は話しが逆だったかもしれない。レンヌ=ル=シャトーという「宝」を秘めた聖地を通過する直線こそが、フランスの子午線の基準として選ばれたのだ。(p.150)
ニューグレンジの塚の天窓は太陽の高さがいちばん低くなる冬至の日に「奇蹟」をおこすのだ。その日、南の丘の彼方から出た太陽の最初の光が、天窓をストレートに抜けて、なんと、奥の石室まで届いてしまう!つまり、この石室は冬至の日を光の射し方によって正確に知らせるカレンダーになっているのだ。(p.188)
古代のすべての聖地は、巨大石造物とすばらしい天文学を持った叡智ある人々によって開かれた。それは太陽の道であるのと同時に、生命と霊力のエネルギー流路でもあった。この信仰と大地の景観づくりは、西へはレイラインとなって伝播し、東へは竜脈として漢字文化圏に広まった。(p.196)