失われた時間という逆境を克服する姿を描くことで若さのかけがえのなさを表現した名作「男の自画像」

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ものすごくいい話しだった。
怪我が原因で現役を引退した元プロ野球選手が、その野球への熱意を忘れることが出来ず、30代半ばにして、再度のプロ復帰を目指すという、地味だけれども熱い話し。

そこらのスポーツマンガと違うのは、普通、若さや青春をストレート描き、それが当たり前の世界になっているところを、それとは逆に、失われた時間という逆境を克服する姿を描くことで、若さのかけがえのなさを表現しているということだ。

柳沢きみお氏の作品は、どれも、表舞台の華やかな部分ではなく、必ず、その裏側の見えない場所にいる、目立たないけれども精一杯生きているという、アウトローな人々を主人公にしているところが好きだ。
「男の自画像」というタイトルもシブい。男の生き様ということについて考えさせられる名作だった。

【名言】

まだ俺達は若い。しかし人は間違いなくいずれ老いる!
老いた時、人は後悔しても、もう間に合わないんだ。(1巻p.24)

今、思いどおりにやらなければ、どんな安定した人生も虚しいだけです。
もしやって失敗して、どんな人生になろうとも、耐えて生きていける気がするんです。(1巻p.72)


なァ雄二・・オマエどうするんだよ!?
職を失い・・
妻と子は逃げ去り・・
生きがいだった女も今失い・・
これでカムバック出来なかったら、ただ全てを失っただけの人生しか残らない。(1巻p.148)

なんてェさわやかな顔つきだったんだ・・
・・あれが男の顔ってものか。(1巻p.212)


人生は実力だけではどうにもならない!運次第だと思う・・
運のないやつがいくら努力しても、夢はかなえられない!
・・人生は運だ!!
俺にその運は、無かったのか!?(2巻p.136)


「監督ー・・もう・・」
「いいんだ・・並木クンにまかせておけ。
このまま抑えたらもちろん言うことはないが、たとえダメだったとしても、いいじゃないか。
今日の試合は、我々にとっては、人生の中でのほんの一部でしかないが、彼にとっては、大きな一日として・・彼の人生の中の宝となりうる日なんだ。」(5巻p.189)

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