ワーキングピュア


ワーキングピュア(小山田容子/講談社)

※2009年9月現在、2巻まで発売
これは良かった。
しらゆり銀行駅前支店という職場を舞台にして、誰か特定の人が主人公なのではなく、毎回、スポットをあてる人物が変わって、交代で主人公になっていくような構成。
くらもちふさこ氏の「駅から5分」と同様に、同じ出来事であっても、誰の視点から見ているかによって、その意味もまったく違って見えてくることがあって、その感覚がとても新鮮だ。(1巻には「駅から10分」というタイトルの話しもあったので、もしかして意識して描いているのかもしれない)
この描き方が特に活きていると感じるのは、銀行という堅い職場を舞台としていることで、それが日本の社会の一つの縮図となっているところがあるからだ。会社のような組織は、一人一人の個性の強さよりも、その個性がどう組み合わさっていくかというところに面白さがある。
この作品では、「仕事とは何か」ということや、「会社で働くとはどういうことか」、ということが、それぞれ異なる立場や性別や年代のキャラクターの考え方を通じて、とてもよく伝わってくるようになっている。
このままドラマ化も出来そうなぐらいに、しっかり構成されている作品だと思う。作者は、金融機関に10年以上勤務していた経験があるそうで、職場の人間関係の機微の描き方がとても上手いと思った。2巻の巻末には、デビュー作の読みきりもついているのだけれど、デビュー作とは思えないくらい、こちらも上手い。
【名言】
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個性の尊重とか生きがいとか、でもそんなこと言ってられるのは若いうちだけだろう。福沢さんも仕事みたいに、期限ぎりぎりになってあわてないようにな。(1巻p.88)
原口さんの言うことよくわからないです。
髪茶色くしたりするんですか?そんなので友だちができるんですか?(1巻p.171)
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僕、大石さんを見てると思うんです。この人は損をして得をしてるなと。
例えば雑用ひとつにしても、大石さんは高島さんより頼みやすいし電話もまわしやすい。だからいつも仕事に追われていて、損をしてると思うかもしれない。
けれどその分、周囲の信頼は増して、いつのまにかみんなにとってなくてはならない人になっている。それはあなたが人に振りまわされているように見えて、本当はそうじゃないからなのかもしれません。(2巻p.103)

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