ナガオカケンメイのやりかた


ナガオカケンメイのやりかた(ナガオカケンメイ/平凡社)

世田谷の九品仏にある「D&DEPARTMENT」というカフェが作られていく過程を中心につづったブログを、時系列に沿って並べた本。このカフェはとても好きなので、興味を持って読み始めた。
日記的に書かれたものをそのまま本にしているので、その時々のリアルタイムな状況にあわせた考え方がわかるところが面白い。人材採用ということについての考え方ひとつ取っても、表現がかなりストレートで、なかなか言いにくいことを本音で語っていることが伝わってきた。
リサイクルショップやカフェという業態に関係なく、すべての業種において共通するような、起業ということや仕事についての考え方がよくわかる言葉が多くあって、共感をするところがたくさんある本だった。
【名言】
生きているなら、いろんな無茶をした方がいい。何か人生の年輪のようなものがあるとして、あとに見返すと、異常に線が濃くなっていて、そういえばそうだったよなって思うでしょう。
いろんな種類の無茶をしなくてはダメ。そう思います。仕事の無茶。部活動の無茶。上司との無茶。兄弟の無茶。親子の無茶。旅行で無茶。そして、無茶な恋。あの時はどうかしてたよという人生の無茶があって、その時間だけやたら濃くて、それを何と言い直すかというと、僕だったら「青春」と言い換える。だから、どんな年齢になっても、青春はある。青春はやって来るものではなくて、自分で無茶をしていなくては味わえない。そう思います。(p.87)
若いスタッフの姿を見ると、いつも思い出す言葉があります。安藤忠雄さんの言葉です。「僕らは、建築を作らせてもらえる時期がある」と。これは、年齢のことを言っている。(p.121)
「ものを作りたかったら、執着しろよ。相手がいるんだから、半端じゃダメなんだよ。作りたい!って言わなくちゃ、俺、作りたいんだよ」。ものを作ることの中には、「人を説得する」ということがその大半を占めていると思うのです。だからこそ、こちらの「やりたい気持ち」は半端に伝えちゃいけない。(p.149)
多くの学生さんが履歴書を送ってくれます。
「D&DEPARTMENT」で働きたいと言ってくれます。
履歴書の中には、何枚もの熱烈な手紙が添えられています。
しかし、2つの傾向があります。
ひとつは、そういう人に限って働いても続かないという事実。
もうひとつは、そんなにまで思っているのに、一次選考で落ちたくらいで何の連絡もしてこない。
ここにも思うのです。
手紙に書かれた「やってみたい」は本物なのだろうかと。
僕は「やってみたい」を大切にする人が好きです。
そして、「やってみたい」という純粋な思いさえあれば、どんなものにも勝てる。
そして、そう思って始まったことやできあがったものは、
いつまでも大切にされるし、みんなが関心をもってくれる。(p.385)