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僕は、Googleやamazonといった、現代のテクノロジー業界の覇者となっている会社にとても興味がある。
好き、という感情もあるけれど、ただそれだけではなく、過去の大企業にはなかった独特なアイデンティティーや、企業戦略にとても興味を惹かれるし、常にその動きが気になってしまう。
この本がフォーカスしている「四騎士」とは、Google、Amazon、Facebook、Appleのことで、今の時代に生活している以上、誰もが、この四騎士の影響から逃れて生きていくことは出来ない。これらの、既に企業という枠を越えた、巨大になりすぎた存在が、いったいどういう成り立ちで成長をしてきて、どのように人類の生活を変えてきたか、ということを丁寧に検証している。
テーマ自体がとても魅力的なのだけれど、スコット・ギャロウェイという人は、それを説明する文章がとても上手い。具体的な数字を挙げながら、ユーモアを交えて、わかりやすく的確に解説していく。
読むほどにわかっていくのは、頂点に君臨する4つの企業が特別に強大な力を持っていて、人々の生活の隅々にまで空気のように浸透している、ということだ。
その手段は実に巧みで抜け目がなくて、何も考えずに過ごしていると、まったくそのことにも気がつかないほどだけれど、この本を読んであらためて、四騎士の比類ない支配力がわかり、それがとても面白い。
四騎士は、世界中のあまねく人々が、知識やネットワークや物品に安価にアクセスが出来るようにしたことで、明らかに人類全体の生活の質を向上させたという功績を持っている。
しかし筆者は、その光の裏側にある負の側面を指摘することも忘れていない。勝者総取りの格差社会をますます加速させて、ごく一部の支配者層と、それ以外の農奴、という構図に世界を分断させているのもまた四騎士の所業であって、そしてもちろんGAFAは支配者の側にいる。
しかし、どれほどのエクセレントカンパニーでも、いずれは衰退して滅びていくということは歴史が証明をしている。
四騎士に続く、第五の騎士が誰かという問いを立てて、アリババやテスラといった企業を分析している内容も面白い。
そして、さらに想像の範囲を越えているのが、四騎士がこの先どのような動きをするのかということだ。
膨大な影響力や資本を蓄積した彼らは、常識では考えられない投資や成長戦略を実行し得る。指数関数的に成長するクラウドやビッグデータの市場との相乗効果で、数年先には、今の時点では想像もつかない世界が待っているのかもしれない。
名言
グーグルが登場する以前、マイクロソフトが無敵であったことを、いまとなっては忘れがちだ。実際、同社は騎士の元祖だった。何百という会社が戦いを挑んだが、テック業界の歴史の中でも特に独創的な製品を持っていたネットスケープでさえ、滅びた。(p.245)
フェイスブックとグーグルはどちらも、以前は情報を他の業務に提供しない(たとえばフェイスブックからインスタグラムへ、グーグルからGmailやYouTubeに)と言っていた。
しかしどちらもその言葉を裏切り、プライバシーポリシーをひっそりと変更した。自分の位置や検索の動きやアクティビティについての情報を他に提供してほしくないときは、その旨のリクエストをして第三者への情報提供を停止しなければならなくなっていた。(p.257)ナイキは有料でフェイスブックのコミュニティをつくったが、いまやナイキの投稿を見るのはそのコミュニティの2%未満だ。その数を増やすには、フェイスブックに広告を出すしかない。ナイキがそれを気に入らないなら、会員20億人を抱える別のソーシャル・ネットワークに移る・・いや、そんなものはない。自分よりスペックの高い相手とデートしているときと同じで、ブランドはひどいことをされても黙って従うしかないのだ。(p.261)
ビル・ゲイツとスティーブ・バルマーは、高感度も低くかわいげもなかった。そのためマイクロソフトがある程度の影響力を持つようになると、ヨーロッパ中の地区検事長や取締官が突然、この魔物を追いかけ始めた。それが知事公邸や国会への近道だと考えたのだ。
企業の高感度が低いほど、筋の通らない理由で反トラスト、反プライバシー保護の取締対象に選ばれやすくなり、すばやく行政介入が行われる。私たちはこのプロセスはもっと慎重に調査され、ある種の公正、あるいは法に基づいて行われていると思い込んでいるが、実は違う。法律は結果を左右するが、企業を法廷に引っ張り出すか否かは主観が左右する。
グーグルはマイクロソフトに比べれば、大いにかわいげがある。そしてグーグルのセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジは、ビル・ゲイツとスティーブ・バルマーよりも好感度が高い。移民でハンサムで、物語性がある。
アップルはアメリカのビジネス史上最大の税逃れ企業だが、アップルはかっこいい。誰だってイケてる子と友だちになりたい。(p.301)アリババはビジョンへの資本が不足し、投資家向けのストーリーテリングに苦労している。アリババの不可解なガバナンスが共感を生みにくいのだ。コングロマリットとしてのアリババには、好調を続けているという以外、語るべきストーリーがない。現代の騎士になるには、それでは足りないのだ。(p.327)
ウーバーが新たな風雲児であるのは間違いない。シリコンバレー発のかつての風雲児たちを撹乱している。ウーバーにとって不運なのは、同社が撹乱させている市場はとても規制が厳しいということだ。
世間はいまだウーバーが私たちのためになる企業なのか否か見極めようとしている。ウーバーはデジタル経済の未来がどのようなものなのかを垣間見せてくれているのかもしれない。とてつもないアプリがすばらしい消費者体験を提供し、熱狂的な投資家たちがそれを支える。しかしそこには何百万という低賃金労働者と、巨額の利益を分け合うひと握りの人々がいる。何千人かの領主と何百万人もの農奴だ。(p.342)大まかに言ってしまうと、現在は超優秀な人間にとっては最高の時代だ。しかし平凡な人間にとっては最悪である。
これはデジタル技術によって生まれた勝者総取り経済の影響の1つである。
リンクトインのおかげで、誰もが常にグローバルな市場に加わることができる。あなたが超優秀なら、あなたのような人材を探し、目を留める企業が何千もある。もし十人並みなら、世界中の何百万人もの「十人並み」の求職者たちがライバルとなる。(p.360)あなたには自分のすばらしさを広めるためにメディアが必要だ。よい仕事をしても、それを宣伝して自分のものだと主張しないと、正当な報酬は得られない。
自分を宣伝するなんてみっともない、質の高い仕事をしていれば見てくれる人がいるはずだと思いたくなる。しかし現実はそうはならない。あなたのすばらしさに触れる機会のない人のほうが圧倒的に多い。10人、1000人、1万人にあなたを伝える方法を考えてみてほしい。幸いなことに、いまはソーシャルメディアという便利な手段がある。ただしそこで目立つためには、殴り合いくらい激しい競争を勝ち抜かなくてはならない。(p.376)
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