ザッポスの奇跡


ザッポスの奇跡(石塚しのぶ/東京図書出版会)

「ザッポス」という会社を今まで知らなかったのだけれど、オンライン専業のアメリカの靴屋で、新興企業ながら、2009年にはフォーチュンの「働きがいのある会社」で、初登場23位にランキングされた会社なのだという。
カスタマーに驚愕を与えるためならほとんど何でもやっていい権限を、サポートセンターの全員が与えられているという話しを読んで、オリエンタルランドやリッツ・カールトンがおこなっている徹底したカスタマーサービスの話しを連想させた。
ディズニーランドやホテルは、サービスが活動の中心になっているということが明らかだけれども、靴のオンラインショップでここまでサービスの質を追求しているというのはスゴいことだと思う。
こういう会社にするためには、時間かけてカルチャーを育てることが必要と思うし、多くの試行錯誤の結果たどり着いたものなのだろうけれど、組織の成長の過程で、ビジョンを明確にすることの重要さについて、よくわかる本だった。
【名話】
・「謙虚であれ」という、ザッポスのコア・バリュー
・4週間続くトレーニング・プログラムの第一週目を終えた新入社員に2000ドルの「採用辞退ボーナス」を提示して、「お金のために」働きたいと思う社員をふるい分ける
【名言】
会社が二倍、三倍にも膨れ上がろうという時、「忙しくて、考えている暇はない」と、アクションにひたすら没頭してしまうのが自然の傾向だ。しかし、これこそ成長企業にとって第一の難関なのではないかと思う。これをどう乗り切るかによって、十年先、二十年先の会社の将来が決まるのではないか。(p.149)