おかあさんががんになっちゃった


おかあさんががんになっちゃった(藤原すず/メディアファクトリー)

こういう本が、本当に素晴らしい本なのだと、自分は思う。
母親がガンということがわかった後の、家族の交流を、イラストを主体にして絵本調で綴った本。日常生活の中の、ありふれた場面の描写ばかりなのだけれど、家族の心情がとてもよく伝わってくる。
ガンというのは、いやな病気だけれども、死ぬまでの間に少しの時間が残されているという点では良いところもあるのだと思った。ガンになった本人にも、周りの人間にも、死ぬまでのわずかな時間の中で準備出来ることがある。
絵は、著者自身が描いたもので、上手いものではないのだけれど、そんなことは全然内容に影響ない。どんなビジネス書や哲学書よりも、多くのことを考えさせてくれて、どんな映画よりも感動した本だった。
【名言】
・・あのおかあさんはがんじゃない
うちのおかあさんはがん・・
なんで私のおかあさんなんだろう・・(p.24)
しまくんのピアノは心配したとおり下手だったけど
すごくすごく気持ちの伝わる演奏だった
おとうさんとおかあさんは泣いていた
先生も看護婦さんも見にきていた他の患者さんも笑顔と泣き顔(p.134)