浅間山の麓、御代田町の中心部、しなの鉄道「御代田駅」の駅前。
龍神の杜公園のすぐ近くに、一見すると何屋かわからない、全面ガラス張りで中がよく見えるお店がある。以前はクリーニング屋だった建物なのだという。
そのお店は「お好み焼き ひだか」。カウンター席には大きな鉄板が敷きつめられている。
大阪風ではなく、京風のお好み焼きらしいのだけれど、実際のところはその二つに大きな違いはないという。
シンプルなメニューだけれども、えびとぶたを両方入れるようにお願いしたり、カスタマイズはいろいろと融通がきく模様。全体的にリーズナブルすぎるのだけれど、とくにデラックスひだかのコストパフォーマンスが高すぎて驚く。
「ひだか」の創業は、なんと昭和49年7月。国道18号線の馬瀬口のあたりに店舗があったらしい。その後、昭和60年に閉店をしたあと、じつに38年の時を経て、同じ御代田町内に再オープンしたという、とてもドラマチックな歴史。
オープンした当時の写真が飾られている。
四角いデザインの車が時代を感じさせる。
当時の店舗の、ご主人と奥さまの写真。今日来ていたお客さんには、40年前にこのお店に通っていたという古馴染みの方もいた。
「ひだか」というのは、調理責任者であった奥さまの名字から取ったのだという。京都の東山区から伝わる秘伝のレシピを受け継いで守ってきた。
お好み焼きは、自分で焼くスタイルではなく、ご主人に焼き手をおまかせする方式。
そのため、タイミングや手順を間違える心配もなく、安心して見守ることができる。
ご主人の佐藤さんは、以前のお好み焼き屋を閉じた後は印刷会社で長年働き、リタイアした後のキャリアとして、お好み焼き屋を同じ屋号で再開した。
美味しさの秘訣かもしれない目玉焼きをお好み焼きの下に敷く。
粉状に細かくしたかつおぶしと、青のり、そしてマヨネーズをかけて仕上げ。
完璧な夜に完璧なお好み焼きが完成。
エビと豚玉をミックスしたお好み焼き。熱々で、とにかく美味しい。お祭りの屋台と比較するものではないけれど、ものが全然違う。レシピに相当な秘密が隠されているのだと思う。
みんなでシェアするためにミックス焼きそばを追加で注文。小さいエビ入り。
フキの煮物をいただいた。
さらに野沢菜をピリ辛に炒めたもの。これが今シーズン最後の野沢菜だという。
再オープンしたのは去年の龍神祭りの頃だというので、もうすぐ一年。まだ間もないけれども、根強いファンがいる。
印刷会社の時代につきあいがあったイラストレーターさんが手掛けた、お店のチラシ。
今回訪問したメンバーで、ご主人の佐藤さんを囲んで。
御代田の駅前に灯る明かりに吸い寄せられるように、地元の人々が「ひだか」を訪れる。子供や中学生もお好み焼きを楽しみに食べにくる。40年の時を経て還ってきた佐藤さんが作り出した奇跡のお店だと思う。
最高のお好み焼きをありがとうございました!
(※佐藤さんに、写真と文章の掲載の許可をいただきました。)
営業時間:11時~14時、18時~21時
テイクアウトもあり。
長野県北佐久郡御代田町大字御代田2480-14