伊勢

 
一生に一度は行ってみたいと、その昔誰もが願ったという伊勢神宮に、今はいとも簡単に行けてしまう。そういう時代であるにもかかわらず、今まで伊勢には行ったことがなかった。
心のどこかで、引っかかっている場所ではあった。今回、さやちゃんがその地でライブをやるというきっかけがあり、今が、行くタイミングなのだと思い、伊勢に行くことにした。
 
伊勢神宮クラスのビッグネームの神社というと、出雲大社や金毘羅さんが思い浮かぶけれど、これらは、その風評にふさわしいユニークな特徴を持っている。出雲大社の、常軌を逸した注連縄の大きさがそうだし、金毘羅宮にたどり着くまでの参堂の山道は、やはり俗世から切り離された場所に登っていくような印象を与える。
 
それと引き比べて、伊勢神宮はどうかというと、見た目上は、そういう特別なところはない。極めて真っ向勝負な、ストレート一本の豪腕投手のような神社で、まったくけれん味のない堂々たる在り様が、特徴といえば特徴だ。
広大な森と、その中を流れる一本の川。歩いて回れる敷地自体はあまり広くないけれど、いかにも神域という感じがする。
今回は、一緒に神宮に行ったしんちゃんと、つい一緒にはしゃいでしまったので、あんまり心静かにその時間を味わうような感じにはならなかった。
次に行く時には、独りになって杜の中でじっとしてみようと思う。