インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

interview.jpg
ポーの一族」とも共通するテーマだけれど、ヴァンパイアの哀しさというのは、第一に、人間の命を奪わずには存在出来ないということで、第二には、どうしても歳をとることが出来ないということだろう。
インタビュアーに自分の過去を語らずにはいられなかった、不滅の体の中に人間の心の弱さを持ち続ける、ルイというヴァンパイア像は、このテーマには欠かすことの出来ない、魅力的なキャラクターだと思った。
舞台がニューオーリンズから始まるというのは意外だったけれど、200年前の当時は、ファッションや調度品もヨーロッパとあまり変わりなかったのかも知れず、雰囲気としてはまったく違和感がない。
話しの中ではブラッド・ピット(ルイ)が主人公的な位置づけなのに、パッケージではどう見てもトム・クルーズ(レスタト)が主演っぽくなってるのは、当時の知名度の関係によるものなんだろうか。
しかし実際、トム・クルーズのほうが出番は少ないものの、存在感は圧倒的に上で、看板に偽りがあるわけではなかった。異様なまでの痩せかたといい、レスタトのこの迫力は、鬼気迫るものがある。
当然のように、陽の光の下でのシーンというのは一つもなく、全編において薄暗い室内か、霧がかった深夜の街ばかり。その、月明かりの中に映る、ヴァンパイアの世界の景色がとにかく美しかった。建物のインテリアや、小道具にいたるまで、細かく手抜きがない。
これほどまでに耽美な世界観を、最初から最後までまったく妥協なく作り上げたという、映像へのこだわりは、相当なものだと思う。
出演:トム・クルーズ、ブラッド・ピット、アントニオ・バンデラス
監督:ニール・ジョーダン


 
【好きだったシーン】
・オープニングの、月光の下のニューオーリンズの港
・ルイがヴァンパイアとして再生するシーン
・蘇ったレスタトがピアノを弾くシーン
・レスタトを馬車で運んで沼に沈めるシーン
・ニューオーリンズの館が炎に包まれるシーン
・ラストの終わり方