スラムドッグミリオネア

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かなりいい。
話しの展開は、ちょっと都合が良すぎるところもあって、ベタな感じのところもあるのだけれど、そんなことがどうでもよくなってしまうぐらい、テレビ番組と主人公の回想をクロスオーバーさせながら過去を物語っていくという構成が、斬新で素晴らしかった。
主人公であるジャマールの出自がムンバイのスラムであるというところが良かった。
これが、ニューヨークのハーレムだったり、ブラジルのリオだったりしたら、全然違っただろうし、意味もまったく変わってきたはずだ。
ジャマールが成長してムンバイに戻って来た時、スラムがあった地域は、昔の痕跡をキレイに消して、高層ビルが建ち並ぶ近代都市に生まれ変わろうとしていた。それを兄弟2人が、建設中のビルの上から眺めているシーンが最高だった。
母の記憶や、初恋の少女の記憶が残っているその土地が、跡形もなく変わっていってしまう。このノスタルジー感は、ムンバイじゃなければ伝わってこない。
あと、ジャマールと、クイズ番組の司会の対照的なキャラクターが、ジャマールの静かな表情の奥に隠された、様々な過去を際立たせる感じで、それも見事な演出だと思った。
その他、最高だったシーンは、子供時代の少年がスラムを逃げ回るところを俯瞰する場面と、スタッフロール手前のエンディング。この、映像のセンスと、音楽のカッコよさには、とにかく痺れる。
http://slumdog.gyao.jp/