サン=テグジュペリの「星の王子様」を原作にしたミュージカル。
とにかく、その舞台のクオリティーの高さに圧倒された。
ステージには、驚くような仕掛けがいくつも重ねられている。
無数の星を表現すること一つとっても、暗幕に光点を投射するような単純なものではなく、一つ一つ独立した電気が空中に設置されていて、それが前後左右に何重にも広がり、客席から見るとものすごい奥行きが感じられるようになっている。
ステージ上の舞台装置が、様々な星の様子を写し出すディスプレイになったり、時には丘になり、時には砂嵐になりと、形を動かしながら次々と役割を変えていく。
青色を基調にした、海の底にいるような照明と、オーケストラピットで間近に演奏される幻想的な音楽。映画やテレビでは、どんなに大画面であっても表現することが出来ない、舞台ならではの臨場感だと思う。
ストーリーは、基本的に原作に忠実で、各キャラクターの特徴がよりはっきりと表現されている。もともと解釈が難しい小説ではあるけれど、この舞台は、原作よりもずっと主題が明確になっている。きっと、観客が子供であれば、よりストレートにそのメッセージを受け取れるのではないかと思う。
ミュージカルというと、セリフが音楽にのせて話されるので、自然な会話とは違った感じになることが多いけれど、この「リトルプリンス」では、そういう違和感を感じるような部分はほとんどなかった。
歌はもっぱら、キャラクターの感情を表すために使われていて、そのことで普通の演劇よりもずっと内容が伝わりやすくなっている。
そして、ダンスの美しさと、テンポの良さも半端ではない。王子の朗らかさや、バオバブの木の怖さ、飛行士の寂しさ、ヘビの不気味さなどなどが、体の動き一つで実に巧みに表現されている。このすごさは、とても言葉では語り尽くせないので、公演を開催しているうちにどうか実際に舞台を観てほしいと思う。
※東京公演・神奈川公演は、チケットがすべて売り切れてしまっているので、後は、平日(11月15日~17日)に若干数用意される当日券が狙い目です。
音楽座ミュージカル「リトルプリンス」ホームページ