生物の進化は「突然変異」と「自然淘汰」によってランダムな選択の結果おこなわれてきた、という説が現在有力だけれど、その説を否定している、フレッド・ホイルという天文学者のたとえ話しが面白かった。
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選択肢がそれほど多くない場合でも、ランダムな選択によって有効な結果が生じるにはあまりにも時間がかかりすぎる。
目の見えない人が、めちゃくちゃに乱れたルービックキューブの色の面を揃えようとしているとしよう。この人は、ピースをねじるたびに、それによって色を揃えるという最終目標に近づいたのか、そこから遠ざかったのかを知ることができないという不利な条件を負っている。
彼はでたらめに試行錯誤することしかできず、そのため彼が六つの面の色を同時に揃えることができる確率は、1と、5×10の18乗分のあいだの範囲にあることになる。彼が一回の操作をするのに1秒ずつ使って、可能な操作のすべてを行うとすると、5×10の18乗秒かかることになる。だが、それは彼には不可能である。なぜなら、5×10の18乗秒は、1260億年に相当するからである。これはこの宇宙の年齢の約10倍の時間である。
この目の見えない人が、作業をしながら助言をもらえるとすると、この状況は一変する。彼が操作するたびに、それが正しいときは「イエス」、間違っているときは「ノー」という助言を正しく与えられるとすると、彼がキューブの色を揃えるのに必要な操作回数は確率の法則によって平均で120回となる。
1秒に1回の速さで操作を行うとすると、彼に必要な時間は1260億年ではなく、たったの2分となる。
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このたとえ話しは、とてもわかりやすくて良い。
進化というのは偶然の成り行きにまかせた場合、上手くいく可能性はゼロではないけれども、果てしなくゼロに近いということで、なんらかの方針にもとづいたアシストがあると考えるのが妥当という話し。