聞き上手は一日にしてならず(永江朗/新潮社)
黒柳徹子、田原総一郎、ジョン・カビラ、糸井重里、小松成美、吉田豪、河合隼雄、石山修武、松永真理、刑事、といったプロの聞き手10人に対して、そのやり方についてインタビューをした対談集。
どの人をとっても聞き手としてのエキスパートばかりだけれども、特に黒柳徹子さん、糸井重里さん、小松成美さん、の3人の話しはとても面白かった。いずれも、その技術においても、心構えにおいてもプロフェッショナルだと思った。
更にその中でもとりわけ、糸井重里さんの話しが、とにかくスゴい。「ほぼ日刊イトイ新聞」をみていても、やはりあの新聞の対談は、あらゆるインタビューの中でダントツに面白いと思う。その糸井さんが、インタビューにおいての心得について話しているというだけれも、この本は相当な価値がある。
【名言】
人には必ず話しがある。それから、人には聞きたいことがある、といつも感じます。しゃべるのは嫌いだという人にも、必ず話したいことはあるはずだと思います。絶対に面白くないはずがない。(黒柳徹子)(p.32)
人と人って、ワタシ語りをあまりしてないんですよ。特に「オレっていうのはさ」みたいなことを言わない人のほうが活躍しているから。(糸井重里)(p.101)
向こうもきっと自分としてはけっこう痛いようなことを、僕に聞いたりしているんだと思うんですよ。僕はそれに意外と気づかない。「言うねえ」なんて言ったりして。「言うねえ」と言い合えているときって、会話としていちばんおもしろいですよね。笑顔で「言うねえ」と言われて、「まて、あらためてゆっくり考えてみるから」って。それは「手伝え」ということなんですよ。「オレも手伝いますから、その会議をしましょう」ということ。インタビューをしているというよりも、ミーティングをしているようなものなんです。(糸井重里)(p.102)