闇金ウシジマくん 13巻(真鍋昌平/小学館)
今回の巻もスゴかった。相変わらず、街の風景がいい。
このマンガは、1巻~2巻あたりの最初の頃は1話完結型でページ数も短かったので、インパクトを重視したような内容が多く、あまり一つのテーマについて深く掘り下げるという感じではなかった。
けれど、途中から、一巻では収まらないぐらいの長篇がメインになってきて、そうなってきてから、登場人物一人一人に至るまでのバックグラウンドが細かく設定されるようになって、格段に面白くなっている。
物語は、予想通りには決して終わらない。コミュニケーション不全が基調となったようなちょっと暗めの世界観で、理不尽な出来事も色々とあるのだけれど、その中にあっても救いを感じるのは、端役を端役だからという理由で使い捨てにせず、すべてのキャラクターに対して存在意義を与えているからではないかと思う。
その一方、主人公であるはずのウシジマくんの登場回数はどんどんと少なくなっている。最初はこの、清濁併せ呑んだ世界への入口としての触媒の役目を果たしていたのだけれど、それも他のキャラクターがそれぞれに自律的に動きだして以降は必要性が少なくなってきたからなのだろう。こういうのも、このマンガの面白いところだ。