インタビュー術!(永江朗/講談社)
語られていることは、いたってまともと思うことばかりで、インタビューをおこなうにあたっての手続きや心構えといったような基本的なことが説明されている。その意味で、あまり新鮮味はないけれど、雑誌の連載などでおこなわれているインタビューという仕事が、一般的にはどういう流れでなされるものなのかということを知る役に立った。
後半は、具体的に、様々な人が書いたインタビュー記事を取り上げて、その特徴を技術的な観点から解説した内容になっていて、どちらかというと、前半よりもこちらのほうが、面白い記事へのリファレンスとして参考になる部分が多い。
やり方は人によってまちまちだということがわかったし、聞き手や構成によって、その内容の面白さは大きく変わってくるということも、色々な例を読み比べると、たしかに良くわかる。
筆者自身のポリシーのようなものはよくわからなかったけれど、一般論としての、インタビュー記事の書き方、読み方を知るにはいい本だった。
【名言】
インタビューは事実をありのままに提示しない。しかし、虚構のほうが真実に近い場合もある。いや、虚構のほうが真実に近いことのほうが多い。事実はいつも真実を覆い隠す目くらましの役目を果たす。その意味では、インタビューにおける編集や構成は、事実から目くらましの部分をはぎ取り、真実に一歩近づくことだといもいえる。(p.26)