習慣化について必要な考え方すべてがこの一冊の中にある。『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』

この本はスゴかった。

習慣が形作られるメカニズムから解析をして、どのようにすれば良い習慣を身につけることができるかをものすごく明確に、論理的なプロセスとして説明をしている。
習慣化について必要な考え方は、もう全部この本の中で説明しつくされているじゃないか、と思う。

まず、重要なことは、習慣は、目標を設定することで決まるのではなく、「自分はどういう人間か」というアイデンティティーを設定することによって身につく、ということだ。
たとえば、目標は、「本を読む」ことよりも、読書家に「なる」ことにするべき。

「自分は健康を第一に考える人間である」というアイデンティティーを規定すれば、それに基づいて、自分がとるべき最善の行動は自然と決まってくる。
それは、単に「早寝早起きをする」とか「なるべく運動をする」と個別に目標を立てるよりも、ずっと強固に自分の行動を規定してくれる。

習慣を続けられるのは、自分のアイデンティティーの一部になったときだけだ。誰でも、一、二回はジムへ行ったり、健康的な食事をしようと自分に言い聞かせたりすることはできるけれど、その行動の背後にある信念が変わらなければ、長期的な変化を続けるのは難しい。

習慣にするための4つのステップは次のとおり。
1)はっきりさせる
2)魅力的にする
3)易しくする
4)満足できるものにする

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そして、スゴいのは、この4つのステップを逆にすれば、やめたいと思う習慣を断ち切るための方法になるということだ。
この「悪い習慣の断ち方」のほうに、とても興味を持ち、感心した。
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1)見えないようにする

間食にお菓子を食べないようにする、と決めた場合、そもそもお菓子が普段目につく場所に置いてあるのがよくない、ということだ。
視界に入る数が多くなれば、そのぶんだけ誘惑に抵抗をする回数も多くなってしまう。

2)つまらなくする

ゲームをついついやってしまうということであれば、それが果たして、長期的に考えた時に自分の人生にとってどれだけのプラスがあるのか、または不利益があるのか、をまずはじっくりと考える。
「これは、一瞬の気晴らしにはなるし、達成感を感じられるけれども、自分の人生にとって役に立つものではない」という結論なら、毎日続けることがバカげたことに思えてくる。

3)難しくする

SNSを見ることで一日のうちの大きな時間を奪われてしまう、ということであれば、SNSのアプリをアイコンを、スマホのホーム画面など見やすい場所に置くのではなく、フォルダの奥のほうに隠しておく、という方法がある。

名言の引用

人はものを選ぶとき、それが何かというより、そこにあるからという理由で選ぶことが多い。もしわたしがキッチンに入って、カウンターの上にクッキーがあるのを見たら、そんなつもりはなく、空腹でなくても、半ダースほどつかんで食べはじめるだろう。もしオフィスで、共同テーブルにいつもドーナツやベーグルが置かれていたら、しょっちゅう手を出さずにいられないだろう。習慣は、あなたがいる部屋や、目の前にあるきっかけによって変化する。

ひとつの習慣の背景と他のものとが混ざらないようにしよう。背景が混ざると、習慣も混ざりはじめる。そして、やりやすい方が勝ってしまう。現代テクノロジーの多用途性に長所と短所があるのも、これが理由である。スマートフォンはさまざまな使い方ができる強力なデバイスだ。でも、なんでもできる機器を使っていると、ひとつの作業と結びつけるのが難しくなる。生産的でありたいのに、見るたびにソーシャルメディアを眺めたり、メールをチェックしたり、ゲームをしたりする癖がついてしまう。きっかけが、ごちゃ混ぜになっているからだ。

良い習慣を身につけるのにもっとも効果的な方法は、望ましい行動がふつうの行動である文化に加わることだ。まわりの人が毎日行っているのを見れば、新しい習慣も達成できそうに思える。健康的な人々に囲まれていれば、運動することがふつうの習慣に見えてくる。ジャズ愛好家に囲まれていれば、毎日ジャズを演奏することが当たり前だと思うようになる。文化があなたに、「ふつう」のことをしようと思わせてくれる。あなたが身につけたい習慣を持っている人々に囲まれるようにしよう。あなたも一緒に上昇していくだろう。

行動よりも意向へと陥ってしまうもっとも大きな原因は、失敗を遅らせたいという気持ちだ。

ナックルズは、「部屋のリセット」と名付けた戦略で掃除の習慣に取りかかった。たとえばテレビを見おわったら、リモコンをテレビ台に戻し、ソファの枕をきちんと並べ、毛布をたたむ。車を降りるときは、ごみを捨てる。
「部屋に入ると、すべてが正しい位置にある」と、ナックルズは書いている。「これを毎日、どの部屋でも行っているから、家のなかはいつも良い状態だ……わたしがとても努力していると人は思うかもしれないが、じつは本当に怠け者だ。ただ、あとで怠けられるようにしているだけだ。そうすることで多くの時間が返ってくる」

習慣は高速道路の入り口のようなものだ。あなたを進入路へ導き、知らないうちに次の行動へ向けて加速させる。すでにしていることを続けるほうが、ちがうことを始めるより易しいからだ。くだらない映画を二時間もすわって観つづける。お腹がいっぱいなのに、スナックを食べつづける。スマートフォンを「ほんのちょっと」チェックすると、そのまま二〇分も画面を見つづける。このように、考えずに行う習慣が、考えているときの選択を決めてしまうことが多い。

遺伝子はあなたの運命を決めたりしない。決めるのは、あなたに有利な分野である。

たしかなのは、もし習慣を始めて続けられるようになったら、やめたくなる日があるということだ。ビジネスを始めたなら、仕事をしたくない日があるだろう。ジムにいるなら、やりたくないトレーニングがあるだろう。書く時間になったら、タイプしたくない日があるだろう。でも、それをするのが面倒だったり、苦痛だったり、うんざりするときに、さらに力を入れて行うなら、それがプロとアマチュアの違いをもたらす。

いつまでも成果を得つづける秘訣は、改善するのをやめないことだ。やめないだけで、驚くほどのものを築くことができる。仕事をやめなければ、驚くほどのビジネスを築ける。トレーニングをやめなければ、驚くほどの身体になれる。学習をやめなければ、驚くほどの知識が身につく。貯蓄をやめなければ、驚くほどの財産になる。親切にするのをやめなければ、驚くほどの友情が生まれる。小さな習慣はただ加算されるのではない。複利で大きくなっていく。これが最小習慣の力だ。小さな変化が驚くべき成果をもたらす。