裸でも生きる

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記
裸でも生きる(山口絵理子/講談社)

バングラデシュ産のジュート(麻)を使ったバッグを日本に輸入する、マザーハウスという会社を立ち上げた女性の自叙伝。まだ作ったばかりの会社で、著者の山口絵理子さん自身も25歳なので、小学校時代の話しから、会社を立ち上げるところまでの物語だ。
発展途上国の支援団体で働いていた著者は、「アジア、最貧国」というキーワードから、バングラデシュという国に興味を持ち、その現場を実際に確かめようとして単身バングラデシュに渡った。そこで国の経済状態の実態を知り、ビジネスを通じて支援をしようと、特産品のジュートを使ったバッグの生産を思いつく。
その大部分は、サクセスストーリーの物語ではなく、とんでもない苦難の連続だったことがわかる。ここまでの逆境があったら普通だったらとっくにあきらめている、というような場面が何度もあったけれども、それを乗り越えて、実際にバングラデシュ産のバッグを日本で売るところまで実行したというのは、すごいことだ。
ビジネスを立ち上げるということの、華やかな部分ではなく、とても地味で根気が必要な部分の苦労がよく伝わってくる本だった。