バクマン。 (現在4巻まで発売中)(大場つぐみ・小畑健/集英社)
これは、かなり新しい、今までにないタイプの、挑戦的作品だった。
マンガ家を目指す2人の、苦悩や挫折の道のりを描いた「まんが道」や「G戦場ヘヴンズドア」のような物語とはちょっと系統が違って、実際の集英社の社内案内や、業界の事情のようなものがリアルに説明されている。だから、3割ぐらいは、マンガ家になるためのノウハウ本としての色合いがある作品のような気がする。
今はもう、自分と、この中学生の主人公を重ねて読むという読み方は出来ないので、かなり客観的で醒めた視点で、フィクションとして読んでしまっているけれど、これを、小中学生の頃に読んだらどう思うんだろう。このマンガによって人生が変わったという人が、たくさん出てくる可能性は、かなりある気がする。
原作の大場氏も、作画の小畑氏も、過去の成功にあぐらをかかずに、ここまで業界の内側に入り込んだ作品を少年誌でテーマにするというのは、かなりの冒険に違いないだろうけれど、そこに敢えて切り込んでいったという挑戦が素晴らしいと思う。