「人間失格」の主人公葉蔵が今生きていたらどんな人生だったか(古屋兎丸「人間失格」)

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太宰治の「人間失格」を古屋兎丸がリライト

かなり面白い。
名作小説をマンガ化したものは、たいがい、原作のイメージを超えることなく、駄作に終わってしまうことが多いと思うのだけれど、この「人間失格」は、原作の魅力を損なうことなくリライトされていると思う。

原作そのままを作品化しているわけではなく、設定は現代になって、もし、主人公の葉蔵が今の世に生きていたら、どういう人生を送ることになっていたか、という変換がされており、これがとても上手く出来ている。
小説の中にあった、上野桜木町の屋敷は六本木ヒルズに舞台を移し、カフェの女給はキャバクラ嬢に替わり、時代設定は大幅に変わっているにもかかわらず、見事なまでに原作の重要なポイントはそのまま引き継がれて、物語の中に生きている。

もとの「人間失格」から大きなインスピレーションを得ながら、それを増幅させて、原作の魅力を再確認させることに成功した、稀有な作品だと思う。
全3巻で完結。

【名言】

しかしこの男の道化は僕のように計算されたそれとは違いました。
彼は裏表のない道化・・苦悩していないただの道化でした。
ああ楽だ・・
この男を見てると自分を演じる必要がない。(第一の日記)


つまり僕は全く人間というものが解っていないのです。
僕は人間が怖いのです・・(第一の日記)

自分の感情を表す言葉が見つかりました
今・・僕は侘しいのです・・(第三の日記)


まったく・・子供というのは不憫な生き物だ・・
どんなに理不尽でも笑顔つくって、そのくせその傷を一生背負うのだからタチが悪い。(第七の日記)

馬鹿な男・・
愛すべき馬鹿な男・・(第七の日記)


幸せなんだ・・この人たちは・・
自分という馬鹿者がこの人たちの間に入って、いつか目茶苦茶にしてしまう。(第七の日記)


夕日・・赤いのは夕日のせいですよ。
だって昨日約束したんですよ。
飲むはずないです・・嘘・・(第八の日記)

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