イキガミ(2009年11月現在7巻まで刊行中)(間瀬元朗/小学館)
残された人生の時間がほんのわずかな時間だとわかった時、人はどう行動するのかというのは、黒澤明監督の「生きる」や、「木更津キャッツアイ」「僕の生きる道」「終末のフール」など、色々な作品でたびたび登場するテーマだ。
「死」というものをテーマにすると、一見深そうな感じになるのだけれど、それだけに安易にテーマにされやすいということもあって、内容は作品によって玉石混交で、時にはまったく中身が感じられないものもある。
この「イキガミ」の世界観のベースになっている「国家繁栄維持法」という設定はとてもいいのだけれど、自分の命があと24時間とわかった時の人間の行動には、あまり現実味が感じられない。
「いくらなんでも、そんなヤケを起こすか?」とか思うところが多々あって、結末についての共感度は低いのだけれど、「自分が同じ立場になった時にどう行動するか」ということを考えさせられる話しが多くて、その点、かなり優れた作品だと思う。
【名言】
誰だって、好き好んで穴に落ちてるわけじゃないのに、なぜか世間は、そこから這い上がろうとしている人間にチャンスを与えてくれない。
だから俺は、イキガミが届いた自分と、ブログでつながっていたあなたとが、こうして出会えた偶然こそが、あなたに与えられた、チャンスだと思いたいんです。(6巻p.92)