ヤング島耕作主任編 全4巻(弘兼憲史/講談社)
「社長島耕作」よりも楽しみにしている「ヤング島耕作」。入社や、初昇進や、結婚など、大きなイベントが目白押しになっているこの時期のほうが、若い熱気があって、話しとして面白い。
主任編は今巻で完結で、島耕作のハツシバ物語のうち、残っている最後のピースは「係長島耕作」だけになった。
1979年当時が舞台になっている4巻のハイライトは、娘が生まれるところで、この娘が将来、この時には予想もつかないような人生を送り、島耕作にも影響を与えることが既にわかっているというのは、なんだか妙な感覚だ。
インベーダーやウォークマン発売などの時事ネタもところどころに入り、日本がバブルに突入する直前の、世の中の活気が感じられるところもいい。
【名言】
「情けない話しね。私にはわかるわ。これ!この子よ!」
「え?わかるんですか?」
「だって目元のブサイクなところがあなたそっくりじゃない」(p.22)
彼は安いプライドが高い上にいつも何かに不満を持っている。
何が不満の原因かということは持ち前の分析力ですぐつきとめる。
しかしその不満の原因を払拭するための「何か」をしない。
これはどこどこが悪い、誰が悪いからこうなる、というところで終わってしまうんだ。これでは絶対に伸びない。
いつも不平不満を言うだけの人間の人生なんてそんなものだ。(p.161)