ものすごく良かった。
映画ではめったにつけることのない、★★★★★(五つ星)作品。
フーバー家の家族みんなが、何らかの点で、世の中の基準からちょっとハミ出した人々なのだけれど、そのハミ出しっぷりが、かなりいい味をだしている。ニーチェに傾倒している15歳の息子の雰囲気が特にいい。
面白いのは、みんなそれぞれ、プライドだけは充分以上に持ち合わせていることで、自己啓発マニアの父親を代表として、自分だけは他の家族や、他の人々よりも優れていると思っているところだ。
人生の「勝者」と「敗者」についての認識を変えるきっかけになったのは、似た者家族の中でも、人生経験の長さの分、より多くの敗けを味わってきた祖父で、彼だけは、自分自身を客観的に見る視点を持っている。
修復不可能なぐらいにバラバラな方向を向いている家族が、トラブルや挫折をきっかけにして、少しずつ絆を深めていくところは感動的だった。
フォルクスワーゲンのバンを、家族全員で押すシーンが好き。
フーバー家がこれからどうなるのかはわからないけれど、もう、何があっても大丈夫だろうと思わせる、良い余韻の残る映画だった。