今年の夏休みは、暑さから逃れようと知床に行こうと考えていたけれども、飛行機の空きが無く、北海道行きは断念した。
代わりに涼しい場所に行きたいということで、長野や群馬あたりの高原を探していたところ、「戸隠高原」が目についた。
ここなら、避暑になる上に、戸隠神社にお参りも出来る。
戸隠の宿坊に電話をしてみたところ、この時期はどの日も満室。
しかし、ちょうどキャンセルが出た日があるというので、即、行くことに決定。
新幹線で東京駅から長野駅へ移動した。
まずは長野駅近くの善光寺にお参り。
ここは、門前町の賑わいといい、親しみやすさといい、浅草っぽい感じがする。
そこからバスで山を登ること1時間。
戸隠五社のうち、一番麓のほうにある宝光社を最初に参拝した。
鳥居をくぐり、長い長い石段を登り切った頂上に、宝光社はある。
登ってきた階段の方向を振り返ると、一本の長い道がまっすぐと伸びていて、その先に戸隠連峰の山の連なりが見える。
宝光社の裏から入る「神道(かんみち)」と呼ばれる山道の中を歩いて、二番目の火之御子社に到着。
ここに祀られているアメノウズメは、賑やかな踊りや歌が好きな芸事の神様で、ラテン系のノリを感じる。その割りに、五社の中で一番地味だけれども。
そして、中社へ。ここは社殿の立派さも随一で、樹齢800年の杉と、社殿の裏手に流れている滝の組み合わせが素晴らしかった。
滝の周りに冷気がただよっていて、蒸し暑い中でも、この近くの空間だけはクーラーの近くにいるように涼しい。
中社までは、大きな道路に面していて、車でも直接来れるけれども、奥社の入口の鳥居から先は、ひたすら山の中の参道を歩いて行くことになる。
雨が降っていたこともあって、登山道のような道はとても歩きにくかったけれども、その代わりに、途中の杉並木などは、より落ち着いた雰囲気で、とても神秘的な場所になっていた。
ゴツゴツした岩の山道を2kmほど登った上にあるのが九頭龍社と奥社。とても狭い中に急な階段と社殿がひしめきあっていて、上から見た景色はちょっとマチュピチュっぽい感じだった。
車でサッと来れない場所にあるっていうのがいい。
今回泊まった、その名も「極意」という宿坊は、かなり古い建物だったけれども、中はキレイに改装されていて、とても居心地がいい宿だった。
料理も、地元の食材と戸隠蕎麦を中心に、とても凝ったものをたくさんふるまっていただいた。
朝は、宿坊の中にある神棚の前で、神主さんが朝のお勤めをする。
作法は神社風なのに、途中、般若心経を唱えていて何なのかと思った。後で聞いたところでは、戸隠神社は、もともと密教と神道が習合していた寺であったところが、明治の神仏分離令で寺を分離して出来たのだという。
昔は、鳥居と並んで、仁王門もあったようで、そういう時代の戸隠という場所は今より面白かったに違いない。
戸隠山の中には、神社以外にも、鏡池という池など色々見てみたいところがあったのだけれど、互いの場所が遠すぎて、歩いて全部回れる距離ではなかったので、今回は五社の参拝以外はあきらめた。今度は、車で来てじっくりと巡ってみたい。
このあたりは積雪量もハンパないらしく、冬の時期に来て滞在するのもまた風情があるだろうと思う。