仕事が優秀で出世しているほど家庭では冴えない男たちの物語。「課長 島耕作」

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全17巻(コミック版)

すべてにおいて完璧というわけではない島耕作

「部長」「ヤング」などの島耕作シリーズを読んだ後に、あらためて「課長島耕作」シリーズを読み返してみると、1巻だけはまだキャラクターが定着していなかったためか、ちょっと違和感があるものの、2巻以降は、シリーズを通してほとんどブレがない。
20年以上にわたる長編マンガなのに、絵柄もキャラクターも、これだけ安定しているというのはスゴイことだと思う。

この話しに出てくる男たちは、みんな、家庭という面では恵まれていない人ばかりだ。
仕事の面で優秀で出世をしているほど、家庭の面では不遇の状態で、愛人を囲ったり、離婚をしたり、ことごとく上手くいっていない。
島耕作にしても、家庭の話しになると、まったく冴えなくなってしまうし、一人娘にたいしても随分寂しい思いばかりをさせている。
この、すべてにおいて完璧というわけではない、仕事に偏ったキャラクターというところも、魅力の一つなのかもしれない。

これより後の「部長」以降のシリーズになると、舞台が国際的になって、だいぶ現場から遠ざかった場面が多くなってしまうので、やっぱり、この「課長」時代の話しのほうが活気があって、色々な出来事がめまぐるしく起こるし、面白いような気がする。
中盤の7巻あたりが、島耕作だけではなく、その周囲の色々な人々の、様々な形の人間模様が描かれていて、「課長島耕作」シリーズで一番面白い部分だと思う。

名場面


何に対しても誠実でいたい思うんは欲ばりやないやろか
うちは島はんとの事だけ真面目でいられるんやったら
他のことは大抵よろしいわ(5巻 p.57)


何て俺はバカなんだ・・
泣けてきた・・・
自分のバカさ加減に泣けてきた
(9巻p.130)


「家族が愛せない・・
女房にも子どもにも何の興味もない
そんなものクソクラエだ」
「お、おい、待てよ樫村・・」(11巻p.130)


今で言う3Kの仕事はバイトの学生がやることと相場が決まってたんだ
最近の若い連中は可哀想だよ
そういう仕事はみんな外国人労働者にまかせて
自分達はきれいで楽なバイトしかしない
それでトクした気分になっているかもしれないが・・
そんなことじゃ世の中にたくさんある大変な仕事の”痛み”がわからないよな(16巻p.106)

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