ハチミツとクローバー

ハチミツとクローバー 9 (9)
ハチミツとクローバー 9巻(羽海野チカ/集英社)
「--けれど、結局僕らは最後まで、みんなで海に行くことはなかった」(p.52)
物語の途中に、こういうナレーションが入ると、しみじみとしてしまう。
何気ない一度一度の「またね」の中にいつかは、もう二度と繰り返されることのない最後の「またね」が訪れる。
それは、その時点よりもずっと経った後でしかわからないことで、未来を知ることのかなわない自分達に出来ることは、一つ一つの「またね」が最後になるかもしれないことを想像するだけだ。
「ハチミツとクローバー」を、隅から隅まで埋めつくしている若さの空気。この9巻ではその青春の終わりが見えてくる。なんだか本当に、しみじみとしてしまう。